【#2】作りたいところだけ作るンゴね

怪異と同居中 ページ24

怪異。人が恐れる妖怪とかトイレの花子さんとかテケテケとかが怪異に含まれると勝手に思ってます、そしてその怪異、八尺様♂と同棲してるのはいいんですよ。いいんですけど、仕事に行くのにカバディしてきて仕事に行きにくくなりましてとても困ってます。



『カバディはいいから！退いて！遅れる！』

「今日ぐらいいいじゃないの、お休みしたら？」

『こういう時にばっか母さんの声使いやがって！ねぇ、ほんとに遅れるから！給料入ってこなくて餓死して死んでもいいなら退かなくていいよ！でも困るでしょ？私が死んだら！』

「…ぽ………」

『よしよし、じゃ行ってきまー………ねぇ！！！！！邪魔！！』



　毎朝こんなことを続けていれば、判断能力も育って行って今では窓から出社することが増えて行った。おかげで判断能力も身体能力も上がって行って…もはや、なんの競技だと思わざるを得ない状況でもある。
　電車に乗り、会社に着くと隣の机の狐川さんが挨拶をしてくれた。最近同居相手について相談も乗ってくれている。本当に癒しというかありがたやというか…



「また、カバディされたんですか？」

『はい…もうほんとにアクション映画かと思うくらいに窓から出社してます』

「ふふっ、大変そうだけれど楽しそうですね」

『……まぁ、カバディされない限りは楽しい出社ですよ』

「今日も頑張りましょうね！」

『まじ癒し…』



　狐川さんとは、この会社の先輩で私の教育係として着いてくれていた。優しく教えてくれるし少しの間違いなら自分の方で直してくれる、ただ本当にダメなことはしっかりと覚え込ませてくれるため母親かと見紛う時がある。
　入社時から気にしてもらっていたおかげか、今では休日に一緒に買い物に行くくらいには仲良くさせてもらっている。ただ、狐川さんとずっと一緒に居るからなのか他の友人のような人はいない。話し掛けようとしても何故か避けられて話しかけることが出来ない、仕事の時は仕方がないためか普通に話しかけられるけど…やはり原因はアレだよなぁと最近思いついているものがある。



「帰りましょうか、Aさん」

『狐川さんの家には帰らないですよ。ああ、山ですっけ』

「ち、違いますよ！ちゃんと家に住んでます！」

『九尾の狐もちゃんと住んでるんですね』

「そりゃ、人間として暮らしているので…」



　そう、狐川さんは狐だ。動物の方ではなく妖怪の方。話しかけれない原因は狐川さんだと、私は踏んでいる。

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