【#2】作りたいところだけ作るンゴね

【とうらぶ】爪紅 ページ18

『……清光、それ楽しい？』



　執務も終わり、暇を持て余している時にネイルを塗るのに忙しそうな清光に話しかけた。最近、ネイルに関する道具を買ってあげたのでそれを使ってアレンジをしているようだった。

　清光はこちらに見向きもせずに楽しいと答えた。本当に楽しそうなので、こっち見てよ！と言えずにいたが、そんなに楽しそうなら私にもして欲しいなと思い相談してみた。



『ねぇ、私にもやってよ。それ』

清光「え…………」

『え、なに』



　え、と発言したままこちらを見て固まってしまった清光に、なにか失言でもしただろうかと思い返したが、なにも変なことは言っていないはずだ。ただ、清光が楽しそうだからと私にもやって欲しいなと言っただけだ。変なことは言っていない、言っていないはずだ…
　固まったままの清光が動き出したと思えば、私の手を取ってこちらを見あげてきた。



清光「ほんとにいいの？」

『いや、お願いしてるからしていいと思うけど…』

清光「ほんと？」

『え、うん……なに、ダメなの？』

清光「そんな事言ってないじゃん！ちょっと待ってて、乱呼んでくる！」



　清光はそう言い残して私の部屋を出ていった。さっきまで塗っていたネイルは手をパタパタとして急いで乾かしていたようで、もう他のものに触れても大丈夫なようだった。
　乱ちゃんを呼んでくるということは、全力でおめかしされてしまうのだろう。出来るだけ顔に見合った爪にして頂きたいが、いいよって言った！とか言って要望は聞いてくれなさそうだ。諦めた方が早そうだ。

　もちろんこの予想は当たり、なかなかしないようなキラキラな爪に仕上がった。と思いきや落ち着いた爪となった。全力だったのは間違いないが、人に合わせているようだった。清光のように顔がキラキラしているわけじゃないため、落ち着いた色味で助かった。
　水色に近い紫をベースに、紫陽花のような花弁が描いてあるものや、白や水色のグラデがしてあるものなどがアシンメトリーに両手に広がっている。とても綺麗だ。



『……綺麗だね。なにより手先が器用すぎて尊敬する』

清光「ちょっと季節外れなんだけどね、主は明るい色ってよりか落ち着いた色が似合いそうだし」

乱「楽しかった〜、またやってもいい？主さん」

『うん、結構気に入ったしまたやってくれると嬉しい』



　乱はやった〜と喜ぶと、次やるネイルについて話し始めた。その2振りの楽しい姿を見ていれば話してよかったと思える。

【ヒロアカ】お酒の場でのひととき　＊ﾘｸｴｽﾄ→←.　＊ﾘｸｴｽﾄ

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す