弐拾漆話 ページ28
Aにとって、サンジに向かって飛び降りたのは「丁度いいや」くらいのもんだったのだが、慌てたのはサンジの方である。
ナミやロビンがするように軽い調子で受け流されるものだと思っていたのに、なんとAちゃんはおれを信じて
風を孕んでぬばたまの髪がふわりと持ち上がり、理知的で高貴な濃青の瞳がいつもより少し晒けだされて、一瞬だけかち合った視線にまるで天使がラッパ片手に舞い降りてきたのかと錯覚するような心地だった。
「しっ至福…!!Aちゃんと抱き合ったこの海がおれのオールブルーだ〜〜♡」
「…ほんっとに気持ち悪ぃなテメェは」
「今お前に何を言われたところでなんっにも耳に入らねェ…お好きにどうぞマリモくん…」
Aがサンジを抱きしめ…いや掴まっているのは泳げないからであって一切他意は無い。
しかしサンジは好機だと言わんばかりにAを両腕でぎゅうと抱き締めて、なんなら彼女の旋毛に頬擦りまでして全身でAを堪能している。
当の本人は飛び込んだ自分を立ち泳ぎのまま難なく受け止めたサンジの脚力に感心しているところで、抱きしめられていることになんの反応も返していないのが悲しいポイントではあるが。
もはやお得意のメロリン♡ハートすら飛ばさず、"感無量"と言った様子で静かにAを堪能するサンジを心底引いた目でゾロは見ていた。
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その後、全身凍ってはいるものの命は取られずに済んだルフィが船に運び込まれ、ロビンと共にチョッパーの治療を受けていた。
残された船員はじっとしていられる筈も無く、甲板に集まって吉報を待ち続けている。
その時だった。
医務室のドアが勢いよく開いて、チョッパーが泣きながら出てくる。
「ウウッ…二人とも…心臓が動いた……!!!」
しかし未だ意識は取り戻していないようで今夜はここで停泊することとなった。
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まどろみマフィア(プロフ) - ぽ、ぽぽぽぽぽポートマフィア?!なんですと?!ギュフフィンフィン(ポトマが出てきて歓喜中の中也推し) (1月25日 0時) (レス) @page37 id: 2cd01fe314 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:翠 | 作成日時:2022年11月7日 10時