【RKRN】屋根裏から来る曲者さん弐【夢】 (ページ5)

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伍　事件？ページ5

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ーー薬の匂いは雑渡さんからか、医務室の中からか。

「気がつきました？」

　ぼんやりする頭を起こす。どうやら私は医務室で横になっているらしい。声をかけてきたのは、伏木蔵くん。
　そばで作業中の伊作先輩も近づいてきた。

「Aちゃん、前の廊下で倒れたんだ。きっとこの間のこともあって疲れていたんだろうね」

「ありがとうございます……。ご迷惑を、」

と曖昧に返事をした直後。ついさっきまで自分が置かれていた状況を思い出してしまって、急激に顔に血が登ってくるのを感じた。

　入口の方へ全力で視線を向けると、医務室には伊作先輩と伏木蔵くんと私の三人以外、誰も居ないようだった。

「雑渡さんなら帰られたよ。留三郎と文次郎が半分追い払う形で……」

　そ、そっか……。情けないなぁ私。
　雑渡さんにせっかく会えたのに――いや、会えたところで恥ずかしくて顔も合わせられなかったんだけど――あの件があったとはいえ、あんな態度とってしまったうえご挨拶も出来てないし、転びそうになったところを助けてもらったお礼が出来てないっ……!!

「そういえば。これをAちゃんに渡してって、雑渡さんから預かったんだ」

　伊作先輩に渡された手紙のようなものを受け取る。
　なんて書いてあるんだろう。ここで開けても問題ない内容だろうか。 ……っていうか伊作先輩も、私と雑渡さんの間に何があったか知ってるんだっけ――

　手汗で滲ませそうになりながら、恐る恐る手紙を開く。

〈お大事にまた来るよ
　雑渡昆奈門(似顔絵付き)〉

「また、来るよ……って……」

「そういえば雑渡さん、昨日竹筒を忘れて帰ってしまったみたいなんだけど――どこかで見なかった？」

「竹、筒……」

　さあ、と震える声で答えた。

　――いや、嘘をついた。

「そうかぁ。失くしたのはここではないかも、と仰っていたし、思ってもみない場所にあるのかもしれないね」

「事件の匂い！すりるとさすぺんす……ふふ……！」

「ハハ、ソウデスネ……」

　あるんだよね、竹筒。

　私の部屋に。

　いや、これには訳があるのだ。

　何故なら――

「例えばそうだなぁ……くノ一教室の長屋、とか」

「!!」

「Aちゃんの部屋、とか」

「!?!? な、何で……!?」

「僕も、忍者のたまご六年生だからね」

　忍びの笑顔を見せる伊作先輩を前に、私は追い詰められたように萎縮してしまった。