5. 陣左 ページ22
※ 拾肆〜拾伍 組頭の視点 ※
保健委員たちと別れたあと演習場所へ戻ると、ちょうど休憩の時間だった。
こちらに気づいた部下の高坂陣内左ヱ門が慌てて駆け寄ってくる。
「陣左ただいま〜」
「組頭! 昨日の案件ですが、少し情報が掴めてきたようで……」
後から崖を登ってきた尊奈門が、追いついてすかさず口を挟んでくる。
「き、昨日の案件って、先月突如として現れた謎の城のことですよね。わかってない点が多くて、かなり強いんだとか……タソガレドキの味方、というわけでもなさそうですし」
「ああ、説明臭いセリフをどうもありがとう」
昨日の案件は、私も気になっていた。
我々の敵であることに違いないが、問題は――そこで雇われている優秀な二人の忍びだ。
未だ素性が知れず、我々にとって早急に進めなければならない課題である。
「何がわかったんだ」
「はい、ご報告致します――」
なんと不便な場所だろう。
山と森に囲まれて、城を建てるのにはちょうどいいかもしれないが……。
森を過ぎて暫くすると、集落が見えてきた。
「ここか」
「あの家が、例の城でいちばん優秀な忍びの家だと思われます。
夫婦と二男二女の子供の家族が住んていたそうです。長女は五年ほど前から遠くへ仕事に出ており、たまに帰郷してきていた、とか……
今までは農家として生計を立てていて、近所からの評判も良かった、と」
「今でも帰っているのか」
「いえ……。
時期は不明ですが最近、急に集落中へ金を借りて回ったと思えば、返すこともなく次の日には忽然と、一家全員居なくなっていたとか」
「一家全員?」
夜逃げ自体は、珍しいことではない。
しかしながら、もしここが本当にあの忍者が住んでいた家だとしたら、借りられていったお金は例の城と関わりがある可能性が高い。
「それから、森の中に見かけぬ城の忍びが沢山いたそうで……どれもこれも相当な手練で、運悪く逃げられたそうですが」
「ふーん……演習も兼ねて罠でも作るか」
「承知しました」
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廬。(プロフ) - 最高です……どうか続編頑張ってください……!! (2019年11月1日 13時) (レス) id: af811dac15 (このIDを非表示/違反報告)
鹿子木(プロフ) - ありがとうございます。ご馳走様でした。これからも頑張って下さい。 (2018年10月3日 4時) (レス) id: d5c9836270 (このIDを非表示/違反報告)
よしのや(プロフ) - 妖狐の巴衛さん» そのセリフは雑渡さんの発言になります!! まだまだ小説初心者ゆえ、表現が拙く分かりづらくて申し訳ないですm(_ _)m コメントありがとうございました!! (2018年6月17日 23時) (レス) id: 7e36950532 (このIDを非表示/違反報告)
妖狐の巴衛(プロフ) - 「……尊奈門、忍術学園の忍たまだ」は誰がかけた言葉なんですか? (2018年6月17日 21時) (レス) id: 2ff3e29f1d (このIDを非表示/違反報告)
よしのや(プロフ) - サラさん» ありがとうございます!! そう言っていただけると、すっごく励みになります(=´▽`=) (2018年4月5日 22時) (レス) id: 5bb94c3c23 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:よしのや | 作成日時:2018年3月27日 20時