3夜 ページ3
パーキングエリアに車を止めて、僕たちは車を降りた。
歩道の両端には喬木が立ち並んでいて、季節になれば鮮やかな葉を茂らせる。
夜になると、アスファルトに固定されている様々な色のライトが木々を照らし、幻想的な雰囲気を醸し出す。
木製の洒落た形のベンチは端から端まで等間隔で設置してあり、時間帯を問わず恋人たちが座って語り合っている。
今も半分以上のベンチが、恋人たちに占領されていた。
誰が付けたかは知らないけれど、この場所はだいぶ前から�爛魯團優后Ε蹇璽畢瓩箸いβ�称で呼ばれている。
好きな人と手を繋いで道の端から端を歩けば幸福になれるという、よく見聞きする類の迷信が、ここにも存在しているのだ。
ただ多くの恋人たちは、その手の迷信を有難がっている。
僕と真衣ちゃんは手を繋いでハピネス・ロードを歩き始める。
「ねえ出久くん、新しく生まれたここの噂を知ってる？」
「新しい噂？
ううん、知らないな」
「昔からある噂は�犲蠅魴劼い任海瞭擦鮹爾�ら端まで歩けば幸せになれる�瓠�
新しいのは�爐修硫鷽瑤�多くなればなるほど、比例して幸福度も増していく�瓠�
1日に複数回歩いちゃダメとか、毎日歩くのもダメとか、いくつかの制約はあるみたいだけどね」
この手の迷信に追加され易そうな噂ではある。
「私たち、この道を何回歩いたかな。
分かる？」
そう聞かれて、僕は記憶の箱を突く。
「うーん・・・50回以上は歩いてると思うけど。
60回前後かな」
ここは僕の事務所から近い所にあるので、仕事が終わってから立ち寄ることが多かった。
僕と真衣ちゃんが付き合い始めて3年だ。
だから、きっとそのくらいの回数はいっている筈。
「うん、それくらいよね。
噂では、100回に到達すると2人は永遠に幸せになれるんだって」
真衣ちゃんはキラキラした瞳で言う。
僕はこの笑顔が大好きだ。
「ここを歩く回数は、今まで2週間に1回くらいだったけど、もう少し増やそうか？」
僕の言葉に、真衣ちゃんはにっこり笑って頷く。
遊歩道の半分くらいまで来た時、空いているベンチが目に留まった。
僕が前進を止めると、真衣ちゃんも足を止める。
「どうしたの？」
「ちょっとベンチに座ろうか」
僕は握っている手に力を籠める。
「出久くん？」
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作者名：なずな x他1人 | 作成日時：2018年9月12日 20時
