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このような説明をすると、景星は眉間に皺を寄せ、苦笑する。
「まー・・・わからなくはないかな、坂木さんの言い分も」
「うん。
だから今は坂木の言う通りにしようと思ってる。
お前らも気をつけてくれよ」
景星は俺の言葉に無言で首肯する。
しかしもう一人の厄介者は、一筋縄ではいかなかった。
「気をつけろって、何を？」
その声は、そしてその表情は、不気味なほどに静謐だ。
経験的にわかる。
これは、芽依が喧嘩をふっかける時の合図だ。
「だからまあ・・・今まで通り、教室ではあんまり話かけないように・・・」
「なんでそんなことしなきゃいけないの？」
「なんでって・・・」
「坂木ちゃんに話しかけるかどうかは、私の勝手じゃん？」
ここで、景星が割って入ってくる。
「まーまー。
昂輝は見てないかもだけどさ、芽依は前から坂木さんに声かけたりしてるんだぞ」
「え・・・そうなの？」
「ああ。
たぶんクラスの中で一番、普通に接してると思うよ。
たまーにだけどな」
見たことがない。
だが芽依の性格を考えれば、おかしくはない。
「だから、芽依も今まで通りってことで。
それでいいだろ？」
「・・・うーい」
景星の提言に、芽依は気のない返事で応えた。
「じゃあ、今日はぼちぼちお開きってことで」
それを最後に、俺たち三人は解散した。
「また明日」とそれぞれ口にして帰路につく。
別れ際まで「絶対におかしい」と語る芽依の表情が、非常に気がかりだった。
翌朝、教室では息を呑む事態が巻き起こっていた。
芽依が坂木に絡んでるいるのだ。
坂木の席の前にて、芽依は自信満々な笑顔で話しかけている。
対する坂木はやはり動揺していて、身体を縮こませていた。
顔色もよくないように見える。
助けに行くべきか悩んでいたところ、景星に声を掛けられた。
「おはよ、昂輝」
「景星、あれはどういうことだよ」
挨拶を返すことさえ忘れ、尋ねる声もつい荒くなる。
「俺が来た時にはもう、ああやって話しかけてたよ」
「あいつ・・・昨日の話聞いてたのかよ」
「まあまあ落ち着け昂輝。
落ち着いて、教室を観察してみろ」
言われた通り俺は改めて、坂木の席だけでなく、クラス全体を見回してみる。
すぐさま気づいた。
本来あるべき違和感がないことに。
他のクラスメイトたちは特に変わった様子もなく、各自雑談に興じている。
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作者名：ゆん | 作成日時：2018年4月14日 23時
