十七話 ページ40
僕は小雪が優しい少女だと知っている。
小雪は昔から泣き虫で。 誰かが喧嘩してると関係ないのに泣き出してしまう。 それほどまでに争い事が嫌いだった。 誰かが傷ついている姿を見ることすら、辛いと思っている子だ。 だから小雪自身が誰かを傷つけるなんて、したくないに決まっている。
そんな小雪が戦いの中に身を置いている。
小雪と戦って分かった。 今の小雪は断然僕よりも戦闘経験が多く、強い。
小雪は今まで何度も何度も戦ってきたのだろう。 そしてきっとこれからも戦い続ける。 自分の心を犠牲にしても戦い続ける。 それはどれだけ辛いことか。
そんな思いをしてまで、小雪は戦わないといけないというのか？
そう考えると、僕は小雪に現実に戻ってほしくない。 このまま僕が小雪を守っていたい。 それが僕の望みだった。
＿＿だけどそれは僕の我が儘だ。
それは僕の望みであって、小雪の望みではない。 小雪は正しくあろうとしている。 現実から目を逸らさずに前を向こうとしている。 それを既に死んでいる僕が引き止め、小雪の邪魔をする事なんて出来ない。
小雪が戦うのは、誰かを守る為だ。
自身を犠牲にしても、守りたいと思っているからだ。 その気持ちは僕にも分かる。
小雪は魔法少女だから。
守られるんじゃなくて、誰かを守る魔法少女であろうとしている。
それに僕も魔法少女だ。
悪い魔法少女が居て、それを放置する事なんて出来ない。 でもゲーム内にしかいられない僕には、その悪い魔法少女を捕まえられない。 それはスノーホワイトにしか出来ない。
だったら僕は＿＿
｢あのさ……小雪｣
｢そうちゃん！ なんでっ……｣
僕が続きを言う前に、スノーホワイトが驚いたように顔を上げる。 そして表情が悲しげに歪んだ。
どうやら僕のやろうとしてる事がバレてしまったようだ。 そんなスノーホワイトに僕は微笑む。
｢僕は命に変えても君を守るって誓ったからね。 最後くらい誓いを果たしたいんだ。 小雪の為なら命をかけてもいい。 だから君が傷つく必要なんてない。 ……だけど悔しいな。 本当はずっと守っていきたかった。 君と一緒に居たかった。 でもそれは望んではいけない事だろう？ それは魔法少女として"正しくない"事だ｣
｢……うん｣
スノーホワイトは少し躊躇い、静かに頷いた。
｢やっぱりそうちゃんは魔法少女なんだね……そうちゃんこそ、本当の魔法少女だよ｣
スノーホワイトはそう言って、泣き笑いを浮かべる。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 10人がお気に入り
お気に入り作者に追加
「オリジナル」関連の作品
この作品を含むプレイリスト ( リスト作成 )
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ねむりん@魔法少女大好き(プロフ) - フェイ＝スカイウォーク( *｀ω´)さん» わぁぁ！ありがとう！やっと完結できたよー(笑)短編も見てくれるの！？嬉しいなぁ！ (2017年2月26日 7時) (
レス) id: bf9ec078e5 (このIDを非表示/違反報告)
フェイ＝スカイウォーク( *｀ω´)(プロフ) - 完結おめでとうございます！短編の方も見させてもらいます( *｀ω´) (2017年2月26日 2時) (レス) id: 415bc6e938 (このIDを非表示/違反報告)
ねむりん@魔法少女大好き(プロフ) - ライムさん» ありがとう！正直上手くまとめられた気がしない…でもなんとか完結出来て良かったw途中から明さまに更新スピード落ちたけど！しばらくは長編書かないかな〜、たぶんwこれからもよろしくねー！ (2017年2月23日 22時) (レス) id: bf9ec078e5 (このIDを非表示/違反報告)
ライム - 完結おめでとおぉぉぉぉ！！！一応サンプルの方でも言うけど今までお疲れ様。これからも応援するよ！本当に面白かった。ラ・ピュセル好きだからこれ見つけた時すごく嬉しかったよ。本当にお疲れ様！ついでにこれからもよろしくね！ (2017年2月23日 22時) (レス) id: 9006e64f70 (このIDを非表示/違反報告)
ライム - わかった！じゃあ水使う？ (2017年1月15日 18時) (レス) id: 5cca98b8ca (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ねむりん@魔法少女大好き | 作者ホームページ：なし
作成日時：2016年12月18日 12時
