果たせなかった誓い、叶わなかった夢【魔法少女育成計画】 (ページ19)

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十八話ページ19

『そんな事は分かってるよ。それでも、わたしは……』

彼女が立ち去る前に呟くように言っていた言葉を思い出す。
今まで無感情と言っていいくらいに平坦な声だった。しかし先程の言葉は今までと違い、少し悲しげな感情がこもっていたように思う。そう、ほんの少しだけだが。
感情の機微が読み取れるほど会話したわけではないし、相手の表情すら分からないのに確信持って言えるわけじゃない。でも、なんだか最後の言葉が心に残るのだ。
だからと言って、僕がやる事は変わらない。スノーホワイトを守るだけだ。
どんな理由があろうとスノーホワイトを襲うなんて良くないことだ。魔法少女は清く正しく美しくあるべきなんだから。

＿＿今度来た時は僕が捕まえてやる。

僕はそう意気込み、家に帰った。

◇◇◇

そして次の日。
僕の予想通り、黒い魔法少女は再び姿を現した。
今日は僕らが人助けを終え、鉄塔に着いた瞬間に、黒い魔法少女が姿を現す。
予想はついていた為、動揺はない。
青ざめているスノーホワイトを背に、剣を構える。
黒い魔法少女は一気に距離を詰める。
僕はその瞬間剣を黒い魔法少女に向かって振り下ろした。しかし、黒い魔法少女はその攻撃を薙刀で軽くいなすと、僕の横をすり抜けスノーホワイトを狙う。その攻撃は急所を狙っており、命を奪うつもりなのは明らかだった。そしてその攻撃にはもう迷いがない。
やはり黒い魔法少女は敵だという認識を強くし、スノーホワイトの前で剣を大きくする。盾がわりだ。
黒い魔法少女はバックステップを踏み、後ろに下がる。早々に攻撃を諦めたようだ。
そして標的をラ・ピュセルに変更する。僕を無効化する方が早いと感じたのか、拳を繰り出す。
剣は地面に突き立てたまま。その為、腕をクロスしガードする。
しかし攻撃の勢いを押し殺せず、後ろによろめく。そして体勢を立て直す前に、追撃がくる。
攻撃が重い。昨日とは大違いだ。
一方的すぎて歯が立たない。
こちらの攻撃は当たらないのに、向こうの攻撃は確実に当たる。
昨日は本気では無かったのだろう。
そして薙刀の柄の部分で腹を殴られ、崩れ去る。
あまりにも呆気なく、あまりにも惨めな戦いだった。
そして黒い魔法少女は動けない僕を無視し、スノーホワイトの方へ向かっていく。
これじゃあ、昨日と変わらない。
いや、それ以上に最悪だ。

「こ、こないで……」

スノーホワイトが涙目で震えている。