四獣の王【usss】 (ページ22)

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「ほんま、何なんやろうなー。こんだけ可愛いんやし、相手を落とす力とか？」
「まーしー真面目にやれ」
うらた様からの鋭い視線を向けられた志麻様は不服そうにむっとする。
私もここは敢えてスルーするところだと決め込む。

「うーん、今まで影を見た事は無かったんですよね？」
『そうですね、昨日が初めてです』

志麻様のボケを無かったかの様に話を進めるセンラ様。
あれ、これ私合ってるよね？大丈夫？

「あー！Aちゃんまで無視すんのー！？」
「ちょっと志麻くんうるさい」
「はい…」

先程と違い一気にしゅんとする志麻様。
私は漫才でも見せられているんだろうか。
笑うなと自分に言い聞かせ平静を装う。

「Aちゃんそんな笑いこらえんなやー、志麻さん傷ついちゃう」
『えっ？』

そう言いながら泣き真似をする志麻様に驚きを隠せない。
表情管理には自信がある方なんだが、そんなに顔に出てたか？

「んっふふ〜、今度はなんでバレたって思ってんなー？」
『…すみません、そんなに顔に出てましたか？』

私が本気で焦っているのに、志麻様はいたずらが成功した子供のように満足気に微笑むだけ。
助けて貰おうとうらた様へ視線を移す。

「これがまーしーの力、人の心が読める」
『心が？』
「おん」

志麻様はいつの間にか用意されたお茶に手をつけながら話を進める。

「まぁ確実に読めるっちゅうわけやなくて、その人の感情とかがオーラとして見えるって言った方が正しいんやけどな」
『オーラ…』

自分には見えないからよく分からない、昨日から初めて見聞きするものばかりで理解するのに時間がかかって嫌になる。

「楽しければ黄色、悲しければ青、みたいな感情に対しての色が、その人の周りにもやもやっと見えてくるんよ」

なるほど、確かにそこまで分かるのなら、心を読めると言っても過言では無いだろう。
感情と色を紐付けられるくらいの観察力があるのも大したものだな。
だけど、四六時中他人の気持ちが見えるなんて疲れないんだろうか？私だったら相手の顔色を伺う所じゃなくなってしまうだろうな。

「別に見ようと思った時にだけ使ってるから、そんな心配いらんで。ありがとうな」
『あ、いえ…』

私から心配しているようなオーラが出ていたんだろうか？
と言うか使いたい時だけ使えるならずっと見なくてもいいじゃないか。