M's cafe (ページ13)

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#LAY ページ13

♪。.:＊・゜

その日は突然やってきた。
いつも通りリストランテバルをクローズして
終礼に入ったときだった。

「俺、独立しようと思うんだ。」
「いよいよか、おめでとう！
　うちから花を贈ろう。」
「夢が叶うね、おめでとう！
　僕からも贈るよ。」

二人の哥哥は手放しで喜んでいたけど、
自分だけは喜ぶより先に不安が出てしまった。

「ヒョン、店はどうするの？
　‥アパートは？」

この世の終わりみたいな顔に見えたのか
ヒョンは申し訳なさそうに眉尻を下げながら
優しいトーンで答えてくれた。

「夜はイーファンとハンに任せるよ。
　昼はジョンデと二人で頼むな。」
「分かった。お店のことは安心して。」

ヒョンが最初からバリスタを目指していたことは知っている。
いつか自分の店を持ちたいってことも。
でも、会社から任されたのはバルで、
それでもヒョンは期待してもらえて嬉しいと頑張っていた。

哥哥は‥イーファンはお母様と一緒に暮らしているし、ハンにはパートナーがいる。
独立したいと思うヒョンの気持ちがよく分かるのだろう。
僕は、まだそこまでは考えられない。

「アパートは‥出ようかと思ってる。」
「‥そう。」
「不安だし寂しいんだけどな！」

僕も不安だし寂しいよ。

「けど、俺は一人でやってみたいんだ。」

男らしく笑うヒョンにあぁ、この人はこうだったと思い出す。

大抵のことは弟たちに譲ってくれるし、ジュンミョンと同じように皆の話をちゃんと聞いてくれる。
けど、自分の信念だけは絶対に何があっても、僕たちが何と言っても決して曲げない。
そして、それが筋の通っていることだから皆最後には納得するんだ。

「やっとチャンスが巡ってきたんだ。
　俺は何としてでもやり遂げる。」
「分かった、応援するよ。」
「部屋はそのままにしておいてくれる？
　たまには帰るから。」
「もちろんだよ。」

まさか、そっくりそのまま弟たちが使うとは思っていなかったけどね。
でも、僕らのためにそうしてくれたんだと分かったから。
あの弟たちも
“ヒョンのお部屋だからキレイに使わないと”
って。
大切に使ってくれてるよ。
ヒョンが僕にしてくれたこと、
今度は僕が弟たちにしなきゃね。

♪。.:＊・゜