ダズル 2 (Kei)

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もう一度言われたとき、

声が掠れていたような気がした。









いつでもペースを崩さない先輩だけど、

鼻にかかった特徴のある声は少し震えている。









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「…私、我が儘です。」

慧「上等っす。」









「嫉妬もします。めちゃくちゃ。」

慧「ふは、可愛いじゃん。」









「そんな面倒な猫でもいいですか…?」









.









歯を食いしばって、

綺麗な手の平を睨み付ける私。









先輩はゆるりと小首を傾げ、

ほんの少しだけ悩む素振りを見せる。









そして…









.









慧「可愛げない猫ほど

愛着が沸くもんだよ?」









.









ふはっと笑った。









.









「……返品不可。捨てるのもなしです。」

慧「当たり前だっての。」









.









縋るように私の肩へと

その額を擦り付けてきて。









そのままジッとしていると、

しばらくしてから先輩の声が聞こえてくる。









.









慧「…にゃあ。」

「へ…」









慧「って、鳴いてよ。今度はAが猫なんだから。」

「なっ…」









.









さっきまでの雰囲気は

どこへいったのやら。









.









「ばか!」

慧「へへ。」









.









いつものペースになった先輩に

ぱしっと肩を叩くけど、









色白の頬をぷっくりと持ち上げて微笑む姿に

何故か顔が綻んでしまう。








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「言いません。絶対に。」

慧「ちぇ。つまんねぇ。」









「つまんなくて結構です。」

慧「えぇ。冗談だってば。」









.









コツンとおでこが当たって、

グリグリとされるから少し痛くて、こしょばゆくて。









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「もう、やめてください。」









.









くすぐったさに吹き出しながら抵抗すると、

先輩は構ってもらった子どもみたいに笑った。









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