文豪さんとの選択恋愛遍歴【文スト】短編集

病弱と推理(了)batend ページ10

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彼女の病室へと急いだ。

ここ数日、彼女の病気とそれを対処出来る病院を調べあげた。

何件か出てきたので報告しようと。





ノックをして、扉を開けると痛々しい点滴は無くなって、いつもは本を読んでいるのにこちら側に後頭部を見せて窓を眺める彼女がいた。




「A！君の病気を治せる医者を見つけたよ！明日でもそこに行ってみよう、そうすればきっと────」
「ごめんなさい、乱歩さん、」




え？





「もう、いいんです。」




どうして？




「私、もう、此処にはいられないんです。明日なんて、来ないかもしれない。」





「ッなんで！まだ助かる！絶対に死なせない！僕が絶対に君を助ける！！！だから、だからッ」









そんな、変な顔はやめてよ。









いつもみたく、困ったように笑って見せて。









「ッだから、お願いが有るんですけど、聴いて呉ますか？」





今にも溢れそうな涙を堪える彼女を見て、僕は頷くしかなかった。



彼女の一生に一度の願い、








「お花見、したいです。」



僕は大きく目を見開いた。





******




僕達は公園に来た。


いつの日か、巡りあった公園だ。
今となっては美しい思い出に成り果ててしまったが。





満開のボタン桜が咲いていた。






「綺麗ですね。」
「うん。」




嘘だ、花なんて微塵も興味がない。


花なんかよりも綺麗に咲う君の方がよっぽど──




「今日は我儘ばっかりで本当に申し訳無いんですが、もうひとつだけ、お願いがあります。」



本当、我儘すぎ。

こんな別れじみたことをお願いするくらいなら生きる事を諦めないで欲しい。



でも、



「あなたのことが、知りたい。」



なんて、真っ直ぐな目で見てくるから、さ




「僕、君が、君のことが─────」

好きだ。

やっとの思いで繋いだ二文字は果てしない快晴の空に





消えていった。






彼女も口を開いた。

「────私も、云いたいことがあります。」









其は僕が望んだ“幸せ”そのものだった。

嫉妬心：太宰治　【夏姫様リク】→←病弱と推理(了)happyend

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