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葡萄酒 ページ6

太宰は中也の腰に腕を回して歩き出す

中也は本当に軽く麻痺していたようで、太宰に僅かにもたれ掛かるようにして歩き出した

先程までの中也は、麻痺しているなんて微塵も感じさせない立ち姿だった

「…中原さんって、凄いんだなぁ」

「ああ、だか、それを見抜いた太宰はどんな目をしているんだ」

いや違う、あれはきっと中也限定であろう

そんなことを考えながら、二人の後ろ姿を見送った

…さて、この男はどうしようか




「全く、強がって」

廊下を歩きながら太宰は中也を見る

「…うるせぇ」

そう答えると、中也はようやく此方を向いた

「大体手前がこんな回りくどい嫌がらせするからだろ」

「ふふ、ばれた?」

「ばれるの分かっててやったんだろ」

青い目が探るように真っ直ぐ覗き込んでくる

「あの役員に俺を選ばせたのもお前、葡萄酒好きを教えたのもお前、そもそも、会食を促したのもお前だろ」

「ふふ、あの役員さん君の写真を見せたとたんに目の色変えちゃってさあ」

「止めろ、気色悪い」

気分が悪そうに顔を歪める

「それに…」

太宰は腰に回していた腕をひいて中也を自分に密着させる

「私はこれがメインだから」

耳元で囁けば

「っ…手前!」

中也は大きな目を更に大きくして此方を見る

クスクスと笑ってその身体を壁に縫い付けると、そのまま口付けた

ゆっくりと上唇を食んでから、次に下唇へ、上唇より僅かに強い弾力に目を細める

強張った身体から徐々に力が抜けて来たのを見計らって舌先でちろりと舐める

僅かに開かれた唇に舌をねじ込みこじ開け、ゆっくりと口内で動かせば、上擦った声が漏れだす

「んっ…は…」

僅かに麻痺して上手く動かない舌を捕まえて、擦り合わせ、吸い上げる

目を開けて中也を見れば

生理的に浮かんだ涙で色素の薄い睫毛が濡れていた

上顎を撫でれば艶やかな声が響き、中也が瞳を覗かせる

「んんっ…ぁ…」

青が更に潤み、今にも一粒零れ落ちそうだった

羞恥に目を反らされるが、またすぐに目が合う

厚く水の膜がはった瞳は尚も求めるような色を点している

僅かに唇を離して甘ったるい声で呟いた

「…欲しがり」

「…うるせぇ」

ちゅっと軽く唇を合わせると、太宰は中也をふわりと抱き上げ

「続きは帰ってから」

耳元でこつりと額をあてて囁いた

中也は肯定するように肩に頬を擦り寄せる

まるで猫のようだ

そして照れ隠しに猫目で可愛らしく此方を睨むのだ




さて、この猫をくたくたになるまで愛でなければ

四月馬鹿→←葡萄酒



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りんり - 二次オタコミュ障さん» 太中を皆の前でいちゃつかせるの大好きです笑 了解しました! (2018年9月27日 22時) (レス) id: 0f7281d890 (このIDを非表示/違反報告)
二次オタコミュ障(プロフ) - 何度目かのリクエストすみませんm(_ _)m 超バカップルな太中で、周りが見てて恥ずかしくなるくらいいちゃいちゃしてる様子を書いて欲しいです! (2018年9月27日 20時) (レス) id: 39b267f283 (このIDを非表示/違反報告)
りんり - 二次オタコミュ障さん» よ、よかったぁ…毎回本当に素敵なネタありがとうございます! (2018年9月11日 22時) (レス) id: 0f7281d890 (このIDを非表示/違反報告)
二次オタコミュ障(プロフ) - あぁぁぁ、最高です・・・っ! (2018年9月11日 20時) (レス) id: 39b267f283 (このIDを非表示/違反報告)
りんり - 二次オタコミュ障さん» 勿論です!リクエストありがとうございます! (2018年9月7日 22時) (レス) id: 0f7281d890 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:りんり | 作成日時:2018年3月25日 21時

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