第八章 人を殺して死ねよとて ページ30
「…それと、A。幾ら与謝野女医のおかげで全快しているからと云ってマフィア達が襲って来ない保証は何処にもない。暫く外出しない事!
絶対だからね!」
「わかったわ」
こういう時の治の言うことは大抵聞いておいて損はない。
だから、今回も大人しく聞く予定だった。
けれど、長年裏社会を離れていて警戒心が鈍っていたからなのか、私は見事にこの言いつけを破ってしまったのである。
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私は谷崎君と共に、今日復社した。
しかしこれ又大変だった。
兄貴は行方不明、ナオミちゃんや賢治君からは心配される始末で、独歩からは何故か牛肉とじゃが芋を貰った。
何故、牛肉とじゃが芋なんだろう。
あれか。『牛肉と馬鈴薯』を掛けてるのか。そうなのか。
しかも、出張から戻って来たという乱歩さんに「そんなのがあるなら肉じゃが作ってよー」と言われてしまった。
いや、肉じゃがを作る分には一向に構わない。ただ具材を買って来なければならないのだ。だが、つい昨日、兄から「外出するな」と言われたばかりだし…と思い悩んだが、我らが探偵社の二大巨頭乱歩さんのご所望だ。
それに近所のスーパーマーケットだから大丈夫だろう…と油断したのが運の尽きだった。
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「太宰Aだな。付いて来て貰おう」
…オーマイゴッド。と言いたくなるのも無理はないと思う。
何とスーパーマーケットから出て暫く歩いていた矢先に、銃を構えた黒ずくめの男達に囲まれたのだから。
なんて日なんだ、今日は。あともう数十歩で探偵社だったというのに。
メロスで応戦しようかとも思ったが、関係のない一般市民を巻き込んでは社の看板を汚す事になる。
私は止む無く黒ずくめ達の云う事に従った。
多分この後の行き着く先は決まっている。
___ポートマフィアだ。
「抵抗なんかしないから、拘束は必要ないわよ」
私がそう云っても、マフィアは私に錠を嵌めた。まったく、これだから下っ端構成員は嫌いなのだ。
…否、警戒するのは当然だろう。逃さないようにするのだって当たり前だ。
何せ私は太宰治の“妹”なのだから。
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有原霊花(プロフ) - とある病、等の表現は出来ないのでしょうか?後からターナーの症状が物語に影響するのなら納得いきますが… (2019年8月5日 7時) (レス) id: 70a887fc81 (このIDを非表示/違反報告)
サラ(プロフ) - 有原霊花さん» 大変失礼いたしました。しかしこれはキャラクターの設定の一つである事を理解していただきたく思っております。 (2019年8月5日 3時) (レス) id: 4e09bde857 (このIDを非表示/違反報告)
有原霊花(プロフ) - 私はターナーにかかっているものです。そう易々と病名をネタに使われるのは不快なので、やめてほしいです。 (2019年8月5日 0時) (レス) id: 5869a0a1cd (このIDを非表示/違反報告)
由紀(プロフ) - 雪菓さん» すみません、いきなりなんですけど黒の時代の太宰さんのタイプの女性が「何も聞かない女性」とwiki先生が言っていたんですけど、もしかしてそれを意識して書いているんですか? (2017年11月23日 21時) (レス) id: d1693c1caf (このIDを非表示/違反報告)
雪菓(プロフ) - サラさん» わわわ、続編あったのですね、、、!!早とちりしてしまいました笑続編も楽しみにしています!! (2017年7月31日 15時) (レス) id: a8c1e7bbe3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:サラ | 作成日時:2017年7月27日 17時