玖 ページ12
「おい太宰!」
倉庫の入り口で、逆光を浴びた独歩が手を挙げている。
「ああ、遅かったね。虎は捕まえたよ」
「!その小僧…じゃあそいつが」
「うん、虎の能力者だ。変身している間の記憶がなかったんだね」
二人が話している間、私は御機嫌を斜めにして兄の片肩で口を尖らせていた。私一体何時まで此の体勢でいなくちゃならない訳?
「おかげで非番の奴らまで駆り出す始末だ。皆に酒でも奢れ」独歩のその言葉に私はぎょっとした。私まで肝を冷やす羽目になった。
私は恐る恐る首を捻る。逆光を浴びていたのは独歩だけではなかったのだ。サアッと顔が青褪めていく。
「なンだ怪我人はなしかい?つまんないねェ」蝶々の髪飾りを頭に差した黒髪の美人は与謝野晶子＿＿＿能力名『
「はっはっは、中々出来るようになったじゃないか太宰。まあ僕には及ばないけどね!」先輩風を吹かす糸目の男は江戸川乱歩＿＿＿能力名『超推理』。
「でもこのヒトどうするんです?自覚はなかったわけでしょ?」麦藁帽子を首から下げた雀斑面の少年は宮沢賢治＿＿＿能力名『雨ニモマケズ』。
「どうする太宰?一応、区の災害指定猛獣だぞ」そしてお馴染み国木田独歩＿＿＿能力名『独歩吟客』。
「うふふ」
そして我が兄、「実はもう決めてある」太宰治＿＿＿能力名『人間失格』。
そして本作の異端者、私こと太宰A＿＿＿＿能力名『走れメロス』。
「うちの社員にする」
「はああァア!?」
まあ当然だけど、独歩はかなり大きな声で叫んでいた。まあ、そりゃそうよねえ。
...そんなことより。
「...治。いい加減下ろして!」
「えぇ?何故だい?」
「当たり前でしょう!皆の前で恥ずかしいったら無いわ!」
私は藻掻いてやっと彼に下ろさせた。
「相変わらずアンタら仲がいいねぇ」
与謝野さんがクスクスと笑ってる。
私は小っ恥ずかしくて「今日私の布団に入って来るの禁止だから!」などと口走って更に余計な醜体を晒してしまった。
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
これが事の始まり___怪奇ひしめくこの街で、変人揃いの探偵社で、これより始まる怪奇譚。
これが先触れ前兆し____
中島敦＿＿＿＿能力名『月下獣』。
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有原霊花(プロフ) - とある病、等の表現は出来ないのでしょうか？後からターナーの症状が物語に影響するのなら納得いきますが… (2019年8月5日 7時) (
レス) id: 70a887fc81 (このIDを非表示/違反報告)
サラ(プロフ) - 有原霊花さん» 大変失礼いたしました。しかしこれはキャラクターの設定の一つである事を理解していただきたく思っております。 (2019年8月5日 3時) (レス) id: 4e09bde857 (このIDを非表示/違反報告)
有原霊花(プロフ) - 私はターナーにかかっているものです。そう易々と病名をネタに使われるのは不快なので、やめてほしいです。 (2019年8月5日 0時) (レス) id: 5869a0a1cd (このIDを非表示/違反報告)
由紀(プロフ) - 雪菓さん» すみません、いきなりなんですけど黒の時代の太宰さんのタイプの女性が「何も聞かない女性」とwiki先生が言っていたんですけど、もしかしてそれを意識して書いているんですか？ (2017年11月23日 21時) (レス) id: d1693c1caf (このIDを非表示/違反報告)
雪菓(プロフ) - サラさん» わわわ、続編あったのですね、、、!!早とちりしてしまいました笑続編も楽しみにしています!! (2017年7月31日 15時) (レス) id: a8c1e7bbe3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：サラ | 作成日時：2017年7月27日 17時
