【文スト】太宰治の奮闘記録

恋は盲目 ページ3

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抜けるように明るく架かっている空は、実に見事な快晴である


燦々と真上から陽が照りつけるヨコハマの午後


私は絶賛



「―――遅い…」


独り待ち惚けていた



「真逆、すっぽかされたって事無いよね…」


定刻を二十分程過ぎた所で、最悪の想像が過ぎり始める



――そこ迄脈無いの私って……


ここ数年で一番大きな溜め息が零れた所で、向こうの方から駆け寄ってくる、小柄な女性を視界に捉えた


間違いなく、私の待ち人だ



『――ごめんなさい！電車が遅れてて…』


今日も相変わらず可愛いので、待たされた事なんて一瞬で忘れてしまう

つくづく、彼女にぞっこんである事を思い知る



「許してあげるからその代わり太宰さん好きですって云ってみて」

『あ、帰りますね』

「待って待って冗談、帰らないで」


本当に踵を返そうとする彼女の腕を掴むと、振り返ってふわりと微笑んで、「暑くなかったですか？」と



「暑過ぎて死にそう、色んな意味で」


云うと、怪訝に首を傾げるA


最早何をしても可愛く見えるのだから、恋のフィルターって恐ろしい



「駅から走って来ただろう？君も暑いんじゃない？」

『確かに、凄く暑いです』

「何処か店に入って休憩しようか」

『賛成！カフェがいいです！』


開幕十分、ここ迄は完璧だ

問題はここから如何やって私の事を意識させるかだが


試しに、自然な流れで手を握ると



『……暑いんですけど』

「うん、だよね」


普通の女性なら、少なからず頬を朱に染めると思うのだけど

そもそも論私に興味が無いのだ、彼女は


一筋縄ではいかないのは一目瞭然



―――さて、如何してやろうか…


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