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6.私に逆らうな※暴力 ページ7

「え…今、何て…?」

静かに見据えていた目が見開かれる。

「聞こえなかったのか?耳が遠いようだね」

「耳鼻科にでも行けば?」呆れた視線が私に注がれる。

私は今、任務の説明を受けていたところだ。

移動するのが面倒だからと、廊下で鉢合わせをしたその場で。

兄さんが再度、説明をし始めた。

だが、私は聞き終わる前に声を出した。

「い…厭だ…」

「……何?」

怖くて脚が震える。

何が怖いか…兄さんの瞳、雰囲気、声…確かにそれでもある。

けれどそれは、"唯の1部でしかない"。

「厭だ!私…その任務をお断ります!!」

私の恐怖は、任務の内容から来ていた。

突撃作戦だ。

今回の相手、武装はあまり無いが、罠が多数設置されているそうだ。

私はその罠を発動させる為だけに結成された突撃隊というものに入れられる。

幹部と小隊(ショウタイ)を少しでも奥へ進ませる為に結成された突撃隊。

未だ死に怯えている私には無理な役目だ。

「はぁ…だから甘やかして欲しく無かったのだよ」

兄さんが何か呟いたが、聞き返す前に頬を打たれた。

乾いた音が廊下に響く。

あまりの衝撃によろけ、尻餅をつく。

「い…た…」

「これだけで痛がるのかい?勘弁してくれ給えよ…」

私に歩み寄って来ると、髪を鷲掴みにした。

「君は囮にしか役に立たないのだから、これぐらい出来て貰わなきゃ困るのだよ」

容赦なく上へ引っ張り上げられ、痛みに顔を歪めた。

頭が熱くなってくる。

「い、痛っ!痛いよ、兄さんッ…!!」

「幹部と呼び給え」

冷たく言い放ち、私を横へ投げる。

体を壁に打ち付け、地面に倒れ込む。

伏せるような格好をしている私の肩を踏みつけ、横を向くように促した。

「君は本当に言う事を聞かないな。私に逆らえると思っているのか」

「例え幹部からの命令だろうと…私は自分の気持ちに従う!」

兄さんから溢れる殺気、威圧、全てに抗うように負けじと睨みつける。

「…その威勢の良さを仕事に使ってくれないかな。

これは決定事項だ。今更君の我儘(ワガママ)に付き合う気は無い」

足を退けると、通りすがりの構成員に銃を要求した。

何をする心算(ツモリ)だろうと身構える。

兄さんは銃口を向けると、引き金を引いた。

私の肩から鮮血が飛び散る。

「あ"あ"ぁッ!!」

肩を抑え、ガタガタと震える体を抱え込んだ。

地面には血溜まりが広がっていく。

怖い…怖い…兄さんが怖い…誰か…

私の思考はあっという間に恐怖に染められた。

7.私は何だろう?※暴力→←5.手前にとって"妹"って何だ?



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オタクなめんな - すっごく面白かったです。映画でも見ているよな感じでした。 (2018年8月15日 3時) (レス) id: edf769ece4 (このIDを非表示/違反報告)
入浴(プロフ) - ゆきみだいふくさん» 有難う御座います!喜んで貰えたようでこちらも嬉しいです! (2018年3月26日 19時) (レス) id: d6f7c6ac49 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきみだいふく(プロフ) - 完結ですね!おめでとうございます!!大好きな太宰さんの色々な面が見られて嬉しかったです! (2018年3月26日 18時) (レス) id: 5f17ef063a (このIDを非表示/違反報告)
入浴(プロフ) - きのさん» 良かったですw私的には成功です! (2018年3月26日 16時) (レス) id: d6f7c6ac49 (このIDを非表示/違反報告)
きの(プロフ) - 泣ける (2018年3月26日 12時) (レス) id: e253f59a3b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:入浴 | 作成日時:2018年2月26日 16時

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