話 ページ9
黒尾side
「ーーー今から俺が話すのは、つゆりのトラウマについてだ」
明光さんから話を聞いた後、俺はその話を各高校の一部メンバーに共有しようとしていた。
…つゆりが、次いつどこで"発作"を起こしても、誰かに助けてもらえるように。
集まってもらったのは、澤村、菅原、及川、岩泉、赤葦、木葉、茂庭、ニロ、牛若、大平、北、角名。
…木兎はパニックになりそうなので、赤葦から上手に伝えてもらえればといいと思う。
「つゆりは、過去に大きなトラウマを持ってる。でもそれを、今までは心の奥底に封印してた」
みんなが息を呑むのがわかった。
「それが今回の合宿中、ツッキー…月島な、烏野の。
月島の兄ちゃんーーー明光さんに会ったことで、一部の記憶が呼び覚まされた」
ーーー多分、偶然とはいえ…俺がつゆりに会ったから、記憶が戻っちゃったんだろうな。
明光さんは自嘲気味に笑って言っていた。
「それによってつゆりが敏感になったもの。
大雨、雷、暴風だ。明光さんが言ってた」
「あのー」
角名が小さく手を挙げた。
「ちょっと前、大雨降って勉強会になった時は、光宗は大丈夫だったんですか?」
「ああ。その時は、大雨嫌いー、くらいだったな。まだ記憶が何も戻っていなかったからだろうけど、明光さんは"俺は記憶の核心にいるからかも"って言ってたな。核心に近い人に会ったことで、記憶の一部が戻った、と」
…本題はここからだ。
「もし、つゆりが"発作"…今回は両手で耳を塞いでその場に崩れ落ちる、だったな。それを起こしたら、つゆり…いや、厳密に言えばつゆりの脳が何かを思い出そうとしている証拠だ」
もし、そうなったら。
「"何も思い出さなくていいから"…って声をかけて欲しい。今回はそれで発作がおさまった。これが俺からのお願いな」
続けて、言う。
「俺ら音駒の大事な子だから。守ってやって、過去の記憶から」
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作者名:tonight | 作成日時:2023年1月1日 17時