報告 ページ37
つゆりside
今日はもう練習はできないそうなので、自分の部屋に戻って寝ることにした。
その前に、クロさんに連絡する。
プルルルルルルルルルルルルル……
私以外誰もいない部屋に、電話の呼び出し音が響く。
でも、今クロさんは学校にいるはずで。
そう簡単には出ないのだと、わかっている。
わかっているのに、少しの可能性を信じて、電話をかけてしまう。
時計をチラッと見た。
…今の時間だと、ちょうど昼休みか。
クロさんは人気者っぽいし、友達とかと話してるかな。
なかなか出てくれないことに、胸がギュッ、と苦しくなる。
…また、部活前に電話しよう。
そう思って、電話を切ろうとした時。
〈———つゆり!?どうしたんだ〉
『クロさ、ん』
出て、くれた。
ちょっと泣きそうになった。
『クロさん、あの』
〈…"発作"か?大丈夫だったか、体調は?今の状態は?〉
と、矢継ぎ早に聞いてくる。
そうやって、私の為に心配してくれているのだと思うと、感動して…嬉しくて、本当に涙がでてきた。
〈!つゆり…お前泣いてんの!?何で!?そんなに今回の"発作"ひどかったのか!?〉
『…全部クロさんのせいですよ』
〈…え?は、俺?〉
『…はははっ、気にしないでください』
泣いてたと思ったら、急に笑い出すとかさ…我ながら、ホントに忙しい人だと思う。
『"発作"起きました。でも、そんなにひどくなくて…』
〈…っ、はぁああぁ…マジか。よかった…〉
『で、ひとつ気になる事があって…』
〈おう、何だ?〉
『あの、私…』
———"発作"が起こるたびに、記憶が少しずつ蘇るんです。
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作者名:tonight | 作成日時:2023年1月1日 17時