囁き ページ31
つゆりside
『オイ』
軽くにろの体を揺さぶる。
『起きろ』
ぐー。
『起きてってば』
ぐー。
…何で起きないの。
『ったく…茂庭さん、どうしたら起きるんですかこのバカは』
「…囁いたら？二口つゆりちゃんのこと大好きだから」
『んなわけないでしょ』
「だってなついてるじゃん」
『気の所為です』
…まあ、やってみるか。
顔をにろの耳に近づける。
…ホント、顔面偏差値だけいい奴だよね…もったいな。
『…にろ』
そっと囁く。
『…起きないじゃないですか！！』
「じゃあ下の名前でいこう」
『…茂庭さん、からかってません？』
「違うよ？」
…怪しいな。
まあもう一回やってみるか。
・
『……堅治、』
・
「…んえ？」
『あ、起きた』
「………って、つゆり！？何でいんだよ！？」
『みんなを起こしにきた。お前起こすのに手間取った』
「ばっ…！」
にろは私と目が合うと、すぐに顔を背ける。
『あ、囁いたのバレた？』
「…こっち見んな」
…顔真っ赤じゃん。
『にろ？起こしてくれた人にくらい感謝しなよー？』
無理矢理にろと目を合わせる。
「だからこっち見んなって…！」
『真っ赤』
「そんなの自分が一番わかってる！！」
『あっそう。感謝は？ほら』
「…サンキュ」
『よくできました』
そして私は、顔をにろの耳に近づけて、
『堅治、』
と囁く。
「…バカ」
ふっ。さらに顔を赤くしてやったぜ。
『じゃあ茂庭さん、私はこれで』
「うん、ありがとね、つゆりちゃん」
『いえいえ』
作並くん可愛かったな。
よし、次は音駒だ。
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作者名：tonight | 作成日時：2022年11月22日 20時
