同僚のデレがいくら何でも過ぎると思う【文豪ストレイドッグス】 (ページ10)

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49話ページ10

Aside

安吾と入れ違いに、立原が入ってきた。

『……立原？どしたん』

「いや……Aに話しておきたい事があってさ。今いいか？」

『ん、判った。じゃあそこのソファにでも座っといてよ。仕事、キリ良いとこまでやっちゃうから』

＿＿＿＿＿数分後

『で、話したいことって何ー？』

伸びをしながら立原に聞く。
立原は、少し云いにくそうに口を開いた。

「“神威”の正体は聞いてるか？」

『え？あ、うん……隊長、だよね』

「ああ。それで、俺……」

＿＿＿＿＿隊長を討ちに行く。

『……え、』

驚きのあまり、声が出なかった。
隊長を討ちに行く……って、そんなの。

「ああ、隊長が強いのは十分に判ってるつもりだ。でも、俺が行かなきゃ」

『……』

本来ならば、頑張って、と応援してあげるべきなのだろう。
笑顔で、送り出してあげるべきなのだろう。

でも、私の口を突いて出た言葉は。

『イヤ…………』

俯いて、立原と目を合わせることなんてできなくて。

『嫌だよ、そんな…………』

ただそればかりが声になった。

きっと立原も、呆れ顔をしているに違いない。
これじゃあまるで子どもの我儘だ。

しかし、立原は優しい声で、

「……A、」

と私の名前を呼んだ。

「顔、あげてほしいな」

立原の声につられるように、恐る恐る顔をあげた。

すると、立原は私の背中と腰に手を回して。
グッと自分の方に引き寄せた。

「……A、」

耳元で、そうゆっくりと囁く。
そして、私と目を合わせて云った。

・

・

「好きだよ。十四年前から、ずっと」