43話 ページ4
Aside
立原と合流したので、ショッピングモールの出入り口へと足を進めた。
そんなとき、見える景色の一部に目が吸い寄せられる。
ふと、足を止めていた。
「……どうした?A」
そんな立原の声掛けにも気づかない程、私はそれを見つめていた。
_____テディベア。
店のショーウィンドウの一角に飾られた大きなそれは、大きな瞳で私を見つめ返しているようで。
目を離さずには、いられなかった。
……そういえば、彼の人の家にも、テディベアがあったっけ。
だからか、見ているだけで包まれているような安心感がする。
「……欲しいのか?」
『……うん』
後の立原によると、この時の私は無垢な瞳をしていたらしい。
その目が欲しいと語っていた……と。
……ああそうだ、私の目は正直なんだっけ。
私がそう答えると、立原は言った。
「懐かしいな、俺の家にもあったわ。小さいやつだけど。……俺も買うか」
『じゃあ早く買お』
まさか、立原まで買うと言い出すとは。
案外可愛いもの好きだったりするのかな。
購入したテディベアは、当然ながら場所をとった。元々の買い出しの荷物でトランクが埋まってしまったので、帰りの車の中では渋々ながら後部座席に乗せた。
ただ、そんな時間が幸せで、楽しかったのは言うまでもない。
後部座席の2匹のテディベアが、車の振動で左右に倒れる。
そんな2匹の姿は、これからの私たちを暗示しているようだった。
まさか数日の間に、事がここまで発展するとは誰も思っていなかった。
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夜半 - 好きです(突然の告白 (12月10日 12時) (レス) @page10 id: 22ab75ff6b (このIDを非表示/違反報告)
いちきちゃん(プロフ) - 滅茶苦茶大好きです (10月16日 19時) (レス) id: bbdd29e3b1 (このIDを非表示/違反報告)
りず(プロフ) - めっっっっちゃすきです (10月4日 0時) (レス) @page4 id: 188b205efb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:tonight | 作成日時:2023年8月26日 12時