同僚のデレがいくら何でも過ぎると思う【文豪ストレイドッグス】 (ページ14)

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53話ページ14

Aside

「……判った、許可する」

我らが天使立原が嬉しそうな顔してる！可愛いね！！

「安井君とは昵懇だ。儂が渡しておこう」

「いいのですか隊長？それは捜査撹乱の為に探偵社が撒いた素子。外に漏らせば混乱を……」

「条野、隊長は探偵社犯人説には懐疑的だと国連の委員長に語っていた」

「成程それで……」

「立原、他に記録素子は？」

「これだけです」

「ならば尚更、儂が持つのが安全だな」

隊長がそう答えた途端、燁子が立原に飛び掛かった。
そのまま立原の頭を拳でぐりぐりする。可哀想。

「こら立原！隊長に慮って頂くなど猪口才じゃぞ！羨ましい！」

「ぐえぇぁあ！すみません！……あ、ならせめて、安井副総監には俺から声を掛けておきます！“隊長が素子を持って行くので待つように”と！」

「……頼む」

「有難うございます隊長！これで真相に近付けます！」

隊長の歯ぎしりが聞こえたような気がした。

＿＿＿＿玄関前

「……じゃあ、俺行くから」

『……うん』

どうやらあの記録素子は偽物で、位置発信機になっているらしい。
……潜入捜査官っぽいな。

そして今から、立原は隊長を討ちに行くのだ。

「……そんな暗い顔すんなって」

『だって、死んじゃうかもしれないんだよ？立原には生きててほし＿＿＿っ！？』

立原の手で、言葉を遮られた。

「生きて帰ってくるから。Aは執務室で待ってて。な？」

『……でも』

私は知っている。
立原の手が、細かく震えていることに。

「俺だって、怖くないって云ったら嘘になる。でも、まだ生きてAとやりたい事が沢山あるから。絶対生きて帰らなきゃいけねえから」

『絶対だよ』

「ああ」

立原の手が、そっと私の腰に触れる。
そのまま、唇を奪われた。

この前も触れるだけだったけど、それとはまた違う。
立原と一緒にいれて幸せだなって、思う。

立原が、そっと唇を離す。
そしてゆっくりと抱きしめられた。

恐る恐る立原の背に手を回すと、立原はさっきより強く私を抱きしめた。

離れた後、立原は名残惜しそうな顔をして微笑んだ。

「行ってくるな、A」

『……いってらっしゃい、道造』

「なっ！？」

立原の顔が真っ赤になる。
私の顔も、多分負けないくらい真っ赤だ。

立原はまた笑って、云った。

「……ありがと、A。行ってくるな」