52話 ページ13
Aside
「武装探偵社のう……となると厄介じゃな。例の“生放送”以降現場が荒れておる。特に横浜では警官の三割が探偵社の味方で、現場では証拠の隠滅や喧嘩沙汰まで起こっておるらしい」
例の“生放送”。
乱歩さんが、数日前に行った生放送のことだ。
生放送で、私が敦君たちにモンゴメリちゃんの“部屋”で見せてもらった、始まりの日のヴィデオメッセージを流し、乱歩さんが演説をした事で、探偵社側につく警官が出てきたようなのだ。
「確かに≪猟犬≫にもその三割が……」
皆が一斉に、立原の方を見た。
「何すか。俺は証拠の隠滅なんかしてないスよ!捜査の見直しを要求してるだけっす!探偵社がテロリストなんて有り得ないでしょ!」
いいぞ立原、その調子だ。
……てか私は、“その三割”って思われてないんだ。
バレてなかった。よかった。
「探偵社は……マフィアの隠れ家で“濡れ衣”と何度も云ってました。でも当時は、マフィアに対する
____俺の、判断ミスです。必ず真犯人がいます!邪悪な黒幕が!
感染型異能も其奴の仕業です。俺に捜査の許可を!」
その場に、しばしの沈黙がおりる。
一番最初に口を開いたのは条野さんだった。
「だそうですが……如何します?隊長」
隊長はそう聞かれたが、答える気配はない。
……まあ自分が黒幕なんだから、答えても許可はされない気がするが。
「隊長?」
「……真犯人捜しは許可しない」
……だろうな。判ってた事だ。
「容疑者が冤罪の可能性は常にある。だが感染型異能を食い止めるには……立原、お前の異能が不可欠だ。今抜けられては困る」
「……俺の力を、そこまで購って頂いて感謝します。判りました、諦めます……でも!」
立原は、懐から何かを取り出した。
「実は丁度いい代案があるんす!俺は捜査しません。代わりに、天空カジノで手に入れた“これ”を、探偵社擁護派の警官に渡すんです!」
『“これ”って?』
「探偵社が事件の真相に就て語った記録素子です。カジノで俺が壊しましたが、金属操作でどうにか復元しました。
この中には探偵社が調べた真犯人に就ての情報が詰まってます。これを“探偵社擁護派”の主要人物、安井副総監に渡しましょう」
「……」
「これなら俺も≪猟犬≫の任務を続けられます。どうか許可を」
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夜半 - 好きです(突然の告白 (12月10日 12時) (レス) @page10 id: 22ab75ff6b (このIDを非表示/違反報告)
いちきちゃん(プロフ) - 滅茶苦茶大好きです (10月16日 19時) (レス) id: bbdd29e3b1 (このIDを非表示/違反報告)
りず(プロフ) - めっっっっちゃすきです (10月4日 0時) (レス) @page4 id: 188b205efb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:tonight | 作成日時:2023年8月26日 12時