50話 ページ11
Aside
『っ、は……?』
立原が、私のことを、好き?
しかも十四年前に、立原みたいな知り合いが居た覚えは___
……
彼の人に、出会った年だ。
___僕の弟とも遊んでやってくれ。こう見えて寂しがり屋なんだよ……
彼の人の苗字は、立原。
そして目の前に居るのは、立原道造。
「ホントに正体隠す……てか、あの家のこと忘れたいんだったら、ちゃんと髪染めろよな」
……髪?
持っていた鏡で確認すると、髪の一部が白いことに気付いた。
地毛だ。
私の疎んだ、真っ白な髪が顔をのぞかせている。
全てが、繋がった。
『………彼の人の弟だったんだね、立原は』
「……ああ」
立原は照れくさそうにはにかんだ。
「……話戻すけどさ、俺はAのことが好きだよ。ちょっと照れくさそうに笑うその笑顔も、冷たく見えてホントは思いやりがあって優しいところも、全部好きだ」
「そんなの見てると、俺も頑張らなきゃって思うし……沢山の勇気をくれた」
「こんなこと、今言うべきじゃないって判ってる。でも、どうしても伝えたかった。Aが俺のことどう思っていようが、”好き”って」
立原は言葉を選んで、優しく、そう伝えてくれた。
私の頬を、生暖かいものがつたう。
「………んだよ、泣くなって」
その涙をそっと拭った立原の優しさに胸がいっぱいになって、勢いよく立原に抱きついた。
『好きだよ……大好き、大好きだよ……』
幼い頃の影響で、本当の”愛”を知らなかった。
愛してくれているようで、それは表面上の愛だった。
……そんな私を、
『……本気で好きになってくれて、ありがとう』
「……ああ、勿論」
立原の綺麗な指が、私の頬に触れる。
「これからは本気で”愛す”ぞ、覚悟しとけよ」
意地悪な笑みを浮かべると、私をグッと引き寄せた。
立原との距離が縮まる。
お互いの距離がミリ単位になり、軽く唇が触れたその時――――――――――
―――――コンコン
「……チッ」
立原は軽く舌打ちをすると、「はーい」と返事をして扉の方に歩いて行った。
と思いきや、Uターンして戻ってくる。
「……続きはまた今度な」
そう云って、私の額に軽くキスを落とした。
148人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
夜半 - 好きです(突然の告白 (12月10日 12時) (レス) @page10 id: 22ab75ff6b (このIDを非表示/違反報告)
いちきちゃん(プロフ) - 滅茶苦茶大好きです (10月16日 19時) (レス) id: bbdd29e3b1 (このIDを非表示/違反報告)
りず(プロフ) - めっっっっちゃすきです (10月4日 0時) (レス) @page4 id: 188b205efb (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:tonight | 作成日時:2023年8月26日 12時