32話 ページ42
Aside
《2人とも気をつけて!ホーソーンは仲間のシグマを扶けるため君たちを殺す気です!》
どうやら黒衣の男は、ホーソーンというらしい。
……ホーソーン?報告書で見たような気がする。
確か、"組合"の…
ホーソーンは、私たちに向けて、血液を弾丸のように飛ばそうとしていた。
「有罪」
……違った。
ドストエフスキーの冷酷さを、私たちは忘れてはいけなかったのだ。
「がは、っ……」
血液の弾丸は、シグマの胸を貫いた。
「シグマさん!」
すぐさま敦君が手を伸ばして扶けに行った。
しかし、その敦君も落ちてしまいそうだ。
「シグマさんしっかり!手を掴んで!」
『敦君、シグマ、今扶けるから……』
「……いいんだ。何となく……最後はこうなるような気がしていた」
そう云うシグマの瞳は、どこか遠くを見つめている。
……ふと、ホーソーンの気配がなくなったような気がした。
一体何処に_______
『敦君!ホーソーンが』
「罪を償え」
いつの間にか敦君たちの方へ移動していたホーソーンが、敦君の額を血液の弾丸で貫く。
敦君の手が、するりと離れた_____
『異能力_____』
重力操作。
2人を空に固定すると、敦君は意識を取り戻したように目を見開いて、虎の尻尾を伸ばした。
「……よせ。手を放せ。君も、重力操作をしている君も。限界なのはよく判ってる……死ぬぞ」
「駄目だ!"何の為に生まれたのか判らなかった"なんて、そんなのを最後の言葉にして、人は死んじゃいけないんだ!」
「……優しいな君は」
シグマは、敦君の手を自ら_______
「だがいいんだ。凡人なりに、やれるだけはやった」
『シグマ!!』
やがてシグマの姿は、雲に隠れて見えなくなった。
______優しいな君は。
敦君に向けられたその言葉。
『何だよ……お前も、優しいじゃんか……』
他人の限界まで判ってるなんて。
『十分優しいよ、お前は……』
察するに、シグマは"本"の書き込みによって生まれたんだろう。
それは"人"と呼べるのか?
本当に"生命"の一部なのか?
……関係ないよ。
シグマは十分優しかった。
それはきっと、自分が孤独というものを人一倍知っているからなんだろう。
誰が何と云おうと、お前はひとりの人間だよ、シグマ。
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紅て漢字見た目良くない?(プロフ) - 漫画立原の見た目がタイプで私も立原くんが好きになりました!猟犬立原の猟犬の5人目明かすシーンはちょっと好きにさせようと完全にねらってきてましたよね (7月22日 19時) (レス) @page6 id: 9e74623cf5 (このIDを非表示/違反報告)
松原来愛(プロフ) - 面白い・・・・!立原好きです!他の人が濃すぎて埋もれやすくないですか、立原くん。かっこいいのに・・・。 (7月22日 17時) (レス) @page6 id: a16c2d859c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:tonight | 作成日時:2023年7月21日 14時