伍拾肆:呪われた地 ページ8
虎杖side
「此処か…?」
『嗚呼、間違いない』
追いかけるようにして釘崎達と合流すると、目の前には天を衝くような高さのご神木が、枝を広げて鎮座していた。
すげぇ…ふつーの神社でもこんなにでっかいのは無いよな…?
「此処を右に曲がるのか」
『そうみたいだが…道が無いぞ』
「は?ウソ、マジで?」
榎森の声に釘崎が右の脇道をひょこっと覗き込む。「ほんとだ…」って呟くから、俺も真似してひょこっと右を覗き込んだ。
「お堂…?」
そこにはお堂があった。
大きさは神社ぐらい。鳥居とか何も無いからお堂って言ったけど、鳥居あったら神社だと思っちまう。
「もしかして俺達、道間違えた?」
『いや、此処で合ってる。…中から嫌な気配がするしな』
『様子見てくる』と俺達に言ってから、榎森がお堂の方に進む。ゆっくりとお堂の段差を上がり、木製の扉に手をかけた。
キィ…と扉が軋む。俺達も榎森の背中を見ながら、それぞれが戦えるように身構えた。
突然、榎森が身体を横にずらした。
身を躱すようにして横に避けた榎森のすぐ隣を何かが通り過ぎる。それは真っ赤な液体を振り撒きながら近くの大木にぶつかり、大きな穴を開けた。
「「"芻霊呪法"!/"玉犬"っ!!」」
咄嗟に二人がお堂の中に向かって攻撃する間、俺はお堂から後退した榎森に駆け寄った。
「榎森っ、大丈__」
喉が引き攣った。見開かれた目に、真っ赤な液体が零れるのが映る。ビシャリと飛び散った血が、乾いた地面に吸い込まれていく。
『…悪ぃ』
榎森は顔に汗を浮かべながら、自嘲の微笑を浮かべていた。
「え、榎森…っ」
伏黒も、釘崎も、驚いた表情で榎森を見ている。その中で、榎森は血塗れの顔を上げた。
『…掠った』
左目が無い。
真っ暗な空洞が、赤い鮮血を噴き出していた。
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九龍-くーろん-(プロフ) - 日向さん» ありがとうございます!一気に読んで頂けるとは…!とても嬉しいです!更新頑張ります! (2021年1月24日 21時) (レス) id: 50fae09df6 (このIDを非表示/違反報告)
日向(プロフ) - 初めまして!主人公の設定や周囲との関係、ストーリーなどがとても面白くて1作目から一気に読んでしまいました!応援してます、更新頑張ってください! (2021年1月24日 20時) (レス) id: 0ceab624dc (このIDを非表示/違反報告)
九龍-くーろん-(プロフ) - 南蛮モナカさん» ありがとうございます!とても嬉しいです…!今後とも主人公達の道を見守って頂けると嬉しいです!更新頑張ります! (2021年1月23日 0時) (レス) id: 50fae09df6 (このIDを非表示/違反報告)
南蛮モナカ - 設定とかキャラ達の関係性?とか話の進み方とかすっごく好みです!更新がんばってください! (2021年1月22日 23時) (レス) id: 4ea39a9195 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:九龍 -くーろん- | 作成日時:2021年1月21日 17時