捌拾陸:可愛い生き物 ページ40
実side
『ただいま……』
高専に戻って、そろ〜…と自室のドアを開ける。
時刻は夕方の6時。ちょっと遅くなったが、これでも早く帰ってきた方だ。
『(何の音もしねぇんだが…)』
擬態は既に解いている。恐る恐る部屋の中に入ると、ベッドがもっこりと山になっていることに気がついた。
『……』
何か居るな、あのベッド。モゾモゾと微かに動くその山に近づいて、ペラリとシーツを捲る。と、中に居た何かが勢いよく俺に抱きついてきた。
「えもりぃ〜……っ!」
「………(ぐすっ)」
…あ〜…二人してベッドの中で拗ねてたのか?可愛くないか?
『お前ら、飯食ったのか?』
「たべちゃよぉ…!おいちかったよぉ!」
「……えもり……っ」
泣きじゃくりながら話す虎杖と、涙目のままぎゅっとしがみついて離れない伏黒の頭を撫でながら苦笑する。相当寂しかったんだな。
『ごめんな二人共。もうお仕事は無いから安心しろ』
「ほんちょ…?」
『嗚呼、本当だ。もう何処にも行かねぇからな』
「うん!」
「ぅ……」
むぎゅっと抱きついてくる二人を抱きしめる。虎杖はキャーッと嬉しそうに笑って、伏黒は幸せそうに頬を赤くして微笑んだ。
子供って何でこんなに可愛いんだろうな…?見てるだけで幸せになる……
『さ、風呂入るぞお前ら。着替えを持ってお風呂に出発だ』
二人から離れて着替えの服を出す。服を差し出そうと振り返ると、何故か二人は顔を真っ赤にしていた。
『どうした?』
「う〜……えっちょ、その……」
「…えもりも、はいるのか…?」
『嗚呼、そのつもりだが…』
何かいけない事でもあるのか?首を傾げると、二人はさらに顔を真っ赤にする。伏黒は驚いたように目を丸くしてキュッとトレーナーの裾を両手で掴み、虎杖は小さな手で顔を隠していた。
恥ずかしがってる……?
『…別に今のお前達の裸見ても、俺は何も思わねぇって』
「ち、ちがうの!……う〜…」
『??』
子供ってよく分からないところで照れるよな…?
「…えもりのはだかみるの、はずかち…」
伏黒はそう言ってかぁ〜と赤くなった。……あ、そう言えば…
「"子供になっても執着心半端無い程アンタが好きなんだよアイツらは"」
『……そういう事か…』
何か、恥ずかしくなってきた。そう言えばこの二人、俺の事好きかもしれねぇ二人だったな。
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九龍-くーろん-(プロフ) - 日向さん» ありがとうございます!一気に読んで頂けるとは…!とても嬉しいです!更新頑張ります! (2021年1月24日 21時) (レス) id: 50fae09df6 (このIDを非表示/違反報告)
日向(プロフ) - 初めまして!主人公の設定や周囲との関係、ストーリーなどがとても面白くて1作目から一気に読んでしまいました!応援してます、更新頑張ってください! (2021年1月24日 20時) (レス) id: 0ceab624dc (このIDを非表示/違反報告)
九龍-くーろん-(プロフ) - 南蛮モナカさん» ありがとうございます!とても嬉しいです…!今後とも主人公達の道を見守って頂けると嬉しいです!更新頑張ります! (2021年1月23日 0時) (レス) id: 50fae09df6 (このIDを非表示/違反報告)
南蛮モナカ - 設定とかキャラ達の関係性?とか話の進み方とかすっごく好みです!更新がんばってください! (2021年1月22日 23時) (レス) id: 4ea39a9195 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:九龍 -くーろん- | 作成日時:2021年1月21日 17時