陸拾玖:格の違い ページ23
五条side
【おニ゛、オにコ゛っコォ、し゛まシ゛ョ〜ッ!】
濁った声が漏れる。途端に背中が沸騰したようにボコボコと盛り上がると、制服を突き破って黒い文様が浮かんだ腕が二本飛び出した。
あの模様は見覚えがある。宿儺に代わった悠仁の腕にも、同じ文様が刻まれていたからね。
「…宿儺の腕か」
なんとなく見えてきた。恐らく実は邪視の任務で宿儺と接触したんだろう。そこできっと指を飲まされたのかもしれない。何で分かるのかって?そりゃ分かるさ。
実には、宿儺の指を取り込ませたことが無いからね。
【mcpx、j@p39q0うz、。9q〜ッ!】
実だった呪霊が咆哮する。泥を撒き散らしながら放たれたその咆哮は周囲の木々を揺らし、コンクリートの道路にヒビを入れる。
「煩いなぁ。深夜なんだからもう少し静かに__」
視界いっぱいに掌が映った。
一瞬の間に目の前まで迫った宿儺の腕が、僕の顔を鷲掴む。腕はそのまま僕の頭を地面に叩きつけた。他の腕が腹、首、腕を掴み、肉を抉ろうと指先に力が篭る。けど、僕には全く効きやしない。
「乱暴だな」
眼前に迫る顔とも言えない顔目掛けてでこピンを一発。バチンッといい音がすると、ソレは上体を海老のように仰け反らせて倒れた。
立ち上がって泥の方を見る。今僕の攻撃が当たったって事は、実体があるってことだな。実みたいに泥になって攻撃躱すとかしないのか…?
「(コトリバコは未知数だ。まだ術式の全てを知り尽くしたわけじゃない。それに…)」
あの姿はきっと覚醒一歩手前、呪胎の状態に近い。あの泥の中では今頃実の肉体と精神を呪霊の性質に書き換えているんだろう。いつか通る道とは言え、このままじゃ普通に悪い呪霊になって誕生する危険がある。それだけは避けたい。
「やるしかないか…」
さっさと拘束して、地下に幽閉ルートかな。
ふらりと立ち上がった泥は、またゴポリと泥を吐く。ビシャリと泥が飛び散ると、突然ビクリと痙攣するように泥が激しく動き出した。
「(まずいな…)"術式反転"」
呪力によって発生する無限。それを集約し、文字通り術式を反転させる。ちょーっと痛いけど、許してね実…!
「"赫"」
真っ赤な光が一瞬だけ大きく光る。途端に光は爆発し、泥もろとも道路を吹き飛ばした。
さて、再起不能には出来たかな…
「……あー」
そんな簡単にはいかないか…
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九龍-くーろん-(プロフ) - 日向さん» ありがとうございます!一気に読んで頂けるとは…!とても嬉しいです!更新頑張ります! (2021年1月24日 21時) (レス) id: 50fae09df6 (このIDを非表示/違反報告)
日向(プロフ) - 初めまして!主人公の設定や周囲との関係、ストーリーなどがとても面白くて1作目から一気に読んでしまいました!応援してます、更新頑張ってください! (2021年1月24日 20時) (レス) id: 0ceab624dc (このIDを非表示/違反報告)
九龍-くーろん-(プロフ) - 南蛮モナカさん» ありがとうございます!とても嬉しいです…!今後とも主人公達の道を見守って頂けると嬉しいです!更新頑張ります! (2021年1月23日 0時) (レス) id: 50fae09df6 (このIDを非表示/違反報告)
南蛮モナカ - 設定とかキャラ達の関係性?とか話の進み方とかすっごく好みです!更新がんばってください! (2021年1月22日 23時) (レス) id: 4ea39a9195 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:九龍 -くーろん- | 作成日時:2021年1月21日 17時