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玖拾参:初めての経験 ページ47

実side

突然、身体から力が抜けた。
膝が笑っている。今まで身体に張り巡らせていた呪力が消えていく感覚と共に、どっと脂汗が身体から噴き出した。

『(何だ…っ!?)』

術式が使えない。いつもならこの程度の消耗で使用できなくなるなんて無かった…っ!
圧倒的に呪力が足りていない。そう実感した瞬間、頭上から大口を開けて魚のような呪霊が飛びついてきた。

『っ!』

咄嗟に右に転がるようにして避ける。地面を噛むようにぶつかった呪霊の目が、ギョロリと俺を捉えた。

『(何で…っ!)』

何で少量の呪力しか残ってないんだ…!


「漏れてるんだよ」


先生の声がはっきりと耳朶を打った。
俺の周りを取り囲むように、複数の呪霊が立ち塞がる。どれも不快な声を漏らし、目の前にある俺と言うご馳走を前に涎を垂れ流していた。

「コトリバコと一つになったことで、術式が曖昧になった。今まで服を着て熱を保っていたが、いきなり裸になって溜めていた熱が外に逃げたみたいな感じさ。気づいてなかったでしょ」
『っ、何で言わなかったんですかっ!』
「言ったところで止められた?」
『っ!』

先生の冷たい声にゾクリと背筋が震える。先生はそのまま、頭を掻きながら溜息をついた。

「早く決めた方がいいよ〜?そのまま食われて死ぬか、相手を殺して生きるかの二択なんだからさ」

…その通りだ。周りを呪霊に囲まれている今、俺に出来るのはこいつらを祓って包囲網を潜り抜けることだけ。でもそれが出来るほどの呪力が無い。あまりにも少なすぎる。
もしこのままの状態で術式を展開すれば、間違いなく封印が解けて俺は暴走するだろう。

『(どうする…!)』

縛り、少ない呪力、囲まれた状況、祓う方法、祓う為には、生きる為には…っ

【ぅ、z@ぅrqw@、xz@9うq9z。9@、おぐw、x@〜!】

呪霊が一斉に吼える。そしてその全てが、俺に襲い掛かってきた。

玖拾肆:死生創術→←玖拾弐:危ない橋



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設定タグ:呪術廻戦 , 男主   
作品ジャンル:アニメ
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九龍-くーろん-(プロフ) - 日向さん» ありがとうございます!一気に読んで頂けるとは…!とても嬉しいです!更新頑張ります! (2021年1月24日 21時) (レス) id: 50fae09df6 (このIDを非表示/違反報告)
日向(プロフ) - 初めまして!主人公の設定や周囲との関係、ストーリーなどがとても面白くて1作目から一気に読んでしまいました!応援してます、更新頑張ってください! (2021年1月24日 20時) (レス) id: 0ceab624dc (このIDを非表示/違反報告)
九龍-くーろん-(プロフ) - 南蛮モナカさん» ありがとうございます!とても嬉しいです…!今後とも主人公達の道を見守って頂けると嬉しいです!更新頑張ります! (2021年1月23日 0時) (レス) id: 50fae09df6 (このIDを非表示/違反報告)
南蛮モナカ - 設定とかキャラ達の関係性?とか話の進み方とかすっごく好みです!更新がんばってください! (2021年1月22日 23時) (レス) id: 4ea39a9195 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:九龍 -くーろん- | 作成日時:2021年1月21日 17時

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