もう少しだけ時間をくれ ページ8
総鬼side
「随分と様変わりしたようでござるな。今は真選組の沖田…と言ったところか」
万斉は寄りかかっていた壁から身を離して、持っていた三味線から伸びる弦を解いた。俺の前に来て、顔を見るようにじっと見つめてくる。
「晋助が心配していたぞ。今まで何処に居たのでござるか？」
『…真選組に拾われて、そこで過ごしてたんでィ。今は事情があって万事屋に居るケドな』
「ほぅ…？怪我無く無事だった事は嬉しい限り、と言いたいところだが…真選組でござるか」
万斉の雰囲気が冷たくなる。……そりゃ警戒するわな。
俺ァ鬼兵隊の一員。身内が真選組という敵対組織に可愛がられてるとあっちゃあ、情報を売ったと思われても仕方無ェ。
『言っておくが、俺ァ何も話してねぇぜ。あちらさんも深掘りして来なかったしな。それに、拾われた恩を仇で返そうなんて思っちゃいねーよ』
「そうか。…お主の口から直接聞けて良かったでござる。手荒な真似はしたくないのでな」
…本心だ。俺は鬼兵隊じゃ万斉とよく一緒に居た。だからこそその言葉が本心から来るものだと分かる。
万斉は優しい。俺を拾ってくれて、その後も色んな事を教えてくれた。今だって直接出向いて話を聞いてくれている。……万斉なら俺をこの場から鬼兵隊に無理やり連れ戻す事も出来るってのに。
「…鬼兵隊には戻らぬ気か」
『いや…まだ分からねェ。心配掛けてるのは分かるが、俺ァ真選組で知りたい事があるんでさァ。それを解決するまで戻るつもりは無ぇ。…けど……』
まだ決められねェ。だから…
『少しだけ、時間をくれ』
「…」
万斉は考えるように黙っちまった。
…小さく溜息が漏れる声が聞こえて、万斉が少しだけ俺から離れた。
「…晋助には見つけたとだけ伝えておこう」
『！…ありがとう、万斉』
まだ自分の事も、周りの事もよく分からねェ。だから戻るか残るかは、もう少し考えてから決めるつもりだ。
「迎えに行くまで、しっかりと自分の事を学ぶでござるよ、総鬼」
『！何で、俺の名前…』
万斉は答えねぇまま行っちまった。
開きかけた口を閉じて路地から出る。知ってた。総悟が付けてくれた名前を。まさか…
『(ずっと、見てたのか…？)』
いや、そんな筈は…。
頭を振って思考を掻き消す。既に癒えた傷があった腕を撫でてから、待ってる皆が心配しねぇように早足で、そのまま万事屋へと走って行った。
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九龍-くーろん-(プロフ) - 赫さん» ありがとうございます！今は出ませんが、後々彼とも会わせるつもりです！長らく手をつけていないので遅くなると思いますが、頑張ります！！ (2021年2月22日 13時) (
レス) id: 8d4444cf44 (このIDを非表示/違反報告)
赫(プロフ) - 面白かったです！沖田くんとの絡みがまたいい！神威くんとの絡みもありますか？更新頑張って楽しみに待ってます！ (2021年2月21日 18時) (レス) id: 896d04091b (このIDを非表示/違反報告)
九龍-くーろん-(プロフ) - くるビーさん» 遅くなり申し訳ございません！飽き性なので不定期となりますが、少しずつ書いていきます！ (2020年10月5日 14時) (レス) id: 8d4444cf44 (このIDを非表示/違反報告)
くるビー(プロフ) - 更新は何時ごろになりますか？ (2020年9月25日 1時) (レス) id: 86be64a2f1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：九龍 -くーろん- | 作成日時：2020年7月13日 19時
