鬼の名を持つ副隊長《2》

決戦の日なんて壮大なタイトルを付けてみるけれども俺は参加しない ページ45

総鬼side

『で、結局俺は行かねぇっていうな』

何してるか？決まってんだろ、見廻りだ。そう、見廻りをしている。


俺だけ。


【え、いいの本当に！？行かなくていいの！？】
『だって総悟と旦那の闘いだし、行ってももう始まってるし、俺は関係無ぇし』
【いやいやいや、あの銀時って人から「"お前も参加しろー"」みたいな事言われてたよね！？それに兄さんが居たら更に戦況悪化すると思うけど！？】
『嫌だ面倒くせぇ俺ァ団子食べて屯所に帰る』
【ほぼやる気無いよ！やる気あったの僕だけだよ！もうっ！！】

触らぬ神に祟り無しだ。もう開始時刻から結構経ってるし、どうせ今此処で書かなくても本家見てる人は知ってるだろうし、あくまでも俺がどう絡んでいくのかだけが重要だし【メタ発言になってるよ沖田君！】あ、悪ィ。

『それに昨日の晩、総悟も大丈夫って言ってたんだ。俺の隊長があんな野郎にやられる筈が無ェ』
【止まるかなぁ兄さん…。兄さんは極悪刀だからなぁ…】

そう心配するな。近藤さん達も行ってるし問題無ぇだろ。さて、俺はのんびり団子でも食べるとするか。
総悟がいつも通っている団子屋へと向かう。最近あそこの婆さんに顔覚えられちまって、俺も何やかんやで団子食わせてもらう機会が増えたんだよな…あの婆さん見分けつくかな？

そんな事を考えていた時だった。

「総鬼！」

聞き慣れた声が背後からかかった。振り返れば、土方さんが息を切らして走って来ていた。

『どうしたんですかィ土方さん。千兵衛の方はもういいんで？』
「っ、それどころじゃねぇ！！総悟はっ、もう行ったのか！？」
『とっくに会場に行きやしたよ。途中まで一緒に行動してたんではっきり言えまさァ』
「っ、くそっ！」

…？何かあったんで？顔が凄ぇ真っ青ですぜ？

「…総鬼、今すぐ会場に行くぞ」
『えぇ…応援しに行くのは勘弁ですぜ。俺ァ団子食いに「違ぇ！お前が来ねぇとあの場の全員が危険に晒されるんだよ！！」…危険…？』

訝しげに土方さんを見れば、土方さんは俺の腰元のマガツキを見て、その柄に手を置いた。

「お前しか…お前らしか今の総悟には勝てねぇんだ。来てくれ」
『…！』

嘘は無い。しかも今"お前ら"って……

『…たくっ、分かりやしたよ。ストッパーすりゃあいいんでしょう？』
「そうだ。行くぞ総鬼！」
『へィへーィ』

ま、仕方無ぇよな、あんな目されちゃあ。
俺は渋々土方さんの後について行った。

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