鬼の名を持つ副隊長《2》

目には目、刀には刀みたいな感じ ページ41

総鬼side

〔何処の誰だか知らないけど、私達の邪魔しないでくれる？私達はもう充分幸せなんだから〕
《さ…鞘子》
「そうそう、昔は知らねーが今のサーヤは俺のず太い菊一文字RX-7に根元までズッポリいかれてんだからよ」
〔あー止めてぇぇ総くんん、恥ずかしい！！恥ずかしい！！〕
《鞘子ォォォオオオ！！！！》

目の前で鞘から刀を激しく抜き差しする総悟。それを見てクサナギっつー刀は小さく震えてた。
ま、元彼って言ってもサーヤは憶えてねぇようだし、諦めるこったなァ。

《あ…ありえへん…、こんなの…こんなの…わしは認めへんんんん！！！》
「クサナギさんんんん！！！」

その刀はビュンッと飛んでズドンッと旦那のケツに逆戻りした。
「何で此処に帰ってくるぅううぅうぅっ！？」と旦那の悲鳴が聞こえたが、ま、残念でしたって事で。

「俺も総鬼も刀と鞘の事は気にしてねぇんで。悪いけど旦那、さっさとその鈍連れて帰ってもらえま」

総悟が立ち上がって部屋を出ようとした時、風が吹き荒れた。
咄嗟に抜いた刀と襲い掛かった木刀が交差する。その風圧で戸が吹き飛ばされ、何故か一斉に隊士達が吹き飛んだ。…聞いてたのか俺達の会話。

『総悟』
「いい、来ンな総鬼」

加勢しようと抜刀の姿勢に移った俺に、総悟から制止の声がかかる。俺は柄から手を離して、総悟と斬りかかった旦那の様子を見た。

「何の真似ですか、旦那」
「冗談じゃねーぞ。ケツに蓋したまんま帰れっかよ…！ただでさえ便秘気味なのによ」
「じゃあ俺がかっ捌いて、腸ごと引き摺り出してあげやしょーか」

ギリギリと音を出して刃が拮抗する中で言葉が飛び交う。たくっ、愉しそうに話してるなアイツ。

「止めろ総悟ぉぉおおぉ！！」
「銀さんも！！」
「テメー等は黙ってろ！！人間の出る幕じゃねーんだよクソガキャ！！！」

木刀と真剣の争いは一旦収束する。剣を引いた旦那は、若干引き攣った顔で声を漏らした。

「そうハナっから人間なんぞ聞いちゃいねーんだよ。剣の話なら剣でカタつけるんがスジってもんだろうがよ。優れた鞘には優れた剣が収まるべきだ。そうだろ総悟君」
「つまり？」



「俺の剣とお前の剣、どっちがその鞘に相応しい剣か、真剣勝負しようじゃねーか」

夜の邂逅→←元彼と今彼が鉢合うと結構気拙い雰囲気になる

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