鬼の名を持つ副隊長《2》

一難逃げたらケツが出た ページ35

沖田side

それにしても、相変わらず人の多い道だねぇ此処は。
行き交う人間一人一人を見ながら総鬼と街を歩いていく。隣に並んで歩く総鬼も俺同様周囲に目を配りながら歩いている。
人斬りと言っても時間帯もやり口も、出現場所も決まりは無ェ。大体は不審な奴に声かけて見定めるってのが主な仕事だ。

「中々見つからねぇなァ」
『だろうな。相手も警戒して、こういった場所には顔出さねぇだろ』

総鬼の言う通りな気もするが、最近は人斬りの事件も多くなってきてるみてぇだし、出来れば早めに見つけてぇんだが……

「……昼寝して〜」
『諦めろ。夕方まで見廻りだ』
「チェッ」

総鬼は真面目だねィホント。息抜きってのも大切なんだぜィ？いやほんとマジで。総鬼は俺と違って働き過ぎなところあるし、いつかしっかりと休むって事を教えねぇとなァ。
欠伸を噛み殺してのんびりと歩いて行く。この地区に居なかったら次はもっと西の方廻らねぇといけねぇかなァ…。あ〜、だりィ〜……。


町の中を歩いて暫く、不意に総鬼が俺の袖を引っ張った。

『…アレ、見ろ』
「ん？」

前方を険しい顔で見る総鬼に釣られ、前を見る。
ちょいと遠くの方で怪しげな雰囲気の男が立っていた。異様な雰囲気と言うべきか、不気味な雰囲気のソイツからは普通のヤツじゃねぇ空気が出ている。

『野郎が千兵衛か？』
「嗚呼、多分な。情報通りの人相に刀…ビンゴだ。行くぜィ」

ポンと肩を叩いて歩き出す。と、ソイツは感づいたのか早々に人混みの中に逃げちまった。チッ…、まぁ別に良いけどなァ…。目の前に獲物が居るんで。

「あーぁ、逃げられちまったか」

大袈裟に声を出して近づく。ケツに刀刺した奴の方に歩いて行って、その醜態に薄く笑った。
ほんと…何してんだこんな所で。

冤罪ですお廻りさんんんんんんっ!!!!!→←もしかしてチョロイ？惚れやすいだけ？？

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