鬼の名を持つ副隊長《2》

手のひらから伝わる感情 ページ33

総鬼side

横薙ぎの刃を一歩後ろに後退して躱し、がら空きの腹目掛けて刃を叩き込む。
数はまぁ俺と総悟を取り囲めるぐらいだ。俺達二人でも相手に出来るが、気を抜いたら勿論危険な目に遭うだろうなァ。

『(それはそうと…なァんかおかしいんだよなァ…)』

血を吸った刃を振り落とす。何かこの刀、生きてるみてぇに血が乾くんだよな。それに何となく、コイツがどう扱って欲しいのか言ってる気がしてならねぇんだよ。

「余所見とはいい度胸じゃねぇか！」
『危なっ』

間一髪、真っ直ぐ叩き込まれた刀が俺の頭に直撃する前に刃で受け止める。真っ黒な刀身と鈍色の刀身がぶつかり合い、軽く火花が散った。

『(気持ち悪ぃな…。総悟も様子がおかしいし、さっさと終わらせて総悟ぶん殴って帰りてぇ…)』


"後ろから来てるよ"


『…！』

突然聞こえた声に反射的に上体を捻る。拮抗していた刃の勝負を横に受け流し、よろける男の背中を斬りつけてから背中を蹴り飛ばした。
俺の蹴りでぶっ飛ばされた男が俺の背後に居た仲間にぶつかり、そのまま地面に転がる。マジで後ろに居やがった……。

『…総悟じゃねぇな』

聞いた事の無い声だった。でも悪い気はしねぇ…。

『…お前か？』

刀に視線を落とす。刀が喋るなんて思っちゃいねぇが……なんかこの刀じゃねぇかなって思ったんだ。



【あ、気づいた？】
『…！』

え、あ、喋っ…【あ、後ろ後ろ！】

咄嗟にバットを振るようにして刀を振ると、ガキィンッと音がして相手の刀が折れた。あぶねぇ…！！

【ナイスだよ沖田君！君、僕と相性良いね♪】
『……イマジナリーフレンド…【違うからね！？】

……世の中、不思議なことってあるんだな……。

もしかしてチョロイ？惚れやすいだけ？？→←企みの一日

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