鬼の名を持つ副隊長《2》

楽しい買い物 ページ4

総鬼side

誰かの代役っつーのは初めてやるかもしれねェ。
初めての事に胸を躍らせながら、新八に言われたモンを買いにスーパーの中を歩く。俺が買うのは醤油と塩だ。神楽先輩は「米は任せるヨロシ！」と意気揚々と飛び出して行ったから、今頃米袋担いで新八の元に戻ってると思う。

『えっと、醤油は…』

見廻りの時は建物に入らねぇからこういうのは新鮮だな。ましてや買い物なんてしなくても、食堂のおばちゃんが毎日天丼作ってくれるから…こういう体験は貴重だ。

『おっ、あったあった』

目的のメーカーの醤油を手にしてカゴの中に入れる。そのまま塩が売っている場所を探そうと視線を移した時、その先にあったものに目が留まった。

「美味しい国産牛はいかがですか〜？今なら30%引きですよ〜？」

……国産牛。要するに、肉。
そう、俺の目の前に現れたのは魅惑の試食。タダで美味いモンが食える場所。(※違います)
しかも目の前で実際に調理されているのは、売られている焼肉のたれを絡めた焼きたての、焼肉。

『………』

ギュルル…と腹の虫が鳴る。恥ずかしいが、俺も食欲には勝てねぇところがある。
でも今は…今は新八の依頼を達成しないと「おっ、そこのお兄さん！どうですか？ひとつ食べてみませんか？」うぐぅ…っ

肉の香りが鼻腔を突く。くっそ良い匂いだなチクショー…！！猛烈に食いてェ…！！
でも、でも新八が焼肉にしてくれるとは限らないし…っ

『い、いや…っ「あ、そのお肉3パック貰ってもいいですか？」…！』

俺の目の前で30%引きの国産牛の肉を3パック手に取った新八は、そのまま俺の方に来た。

「沖田さんが食べたそうな顔してるからお肉見てたんですけど…見てるうちに僕もお肉食べたくなっちゃって」
『…！じゃあっ』
「はい。今日は沖田さんの歓迎会として、お肉パーッと振舞いますね？」

い、良いヤツ…！新八、良いヤツ…！！
合流してきた先輩にもお肉速報を伝えたら、その場で飛び上がりそうな程喜んでいた。俺は夜のお肉大盤振る舞いを想像して、また少し腹の虫を鳴らした。

楽しみだなァ…。肉はいつ食っても美味いモンだ。

楽しさも一転→←新メンバーでーす

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