鬼の名を持つ副隊長《2》

そして帰るのである ページ25

総鬼side

『帰って来やし「総鬼ーーーーっっっっっ！！！！！」(グェッ)』

屯所に帰って早々、俺は総悟の突進をもろに受け吐血した。いや、普通に油断してるところに突進されたら死ぬ。

「落ち着け総悟！お前のキャラが鈍る！！」
「大丈夫だ近藤さん。アイツは総鬼の前だと駄々捏ねのガキになるだけ「死ね土方」よぉしキャラ失ってねぇな今すぐキャラ喪失させてやらぁっ！！」
「落ち着けトシーッ！！！」

総悟の頭を撫でつつ、俺は刀を抜いて総悟に斬りかかりそうな土方さんと、そんな土方さんを羽交い絞めにする近藤さんを見る。相変わらずで何よりでさァ。

『騒がしいですぜ二人共。他の隊士が何事かと集まる前に部屋に戻りやす。あ、近藤さん。俺の書類回しといてくだせェ』
「戻って早々仕事する気満々とはな…。嗚呼分かった。だが、あまり根を詰めるなよ？帰ってきたばかりなんだからな」
『へィ。分かりやした』

総悟を抱き上げ部屋に向かう。荷物と総悟を一度に持てるところは親に感謝だなァ。怪力で良かった。

「帰って来てすぐ仕事たァ…真面目になったもんだなァ総鬼」
『拗ねるな拗ねるな。頬を膨らますな』

テメーの相手はしてやるから、今は溜まった仕事を片付けさせろィ。一週間も間が空いてンだからよ。
荷物を置いて座れば、必然と総悟は俺の膝の上に乗る訳で…むくれた顔が目に入った。

「…」
『…』

そんなに睨んでも駄目だって言ってんだろィ。

「…総鬼」
『遊びやせんよ「違ぇやい。贈り物があるんでィ、総鬼に」

俺に？
訝しげに総悟を見れば、総悟は腰に提げた刀を抜いて俺に差し出した。

「総鬼が出払ってる時に奪った戦利品でィ。まだ自分の得物が無かっただろィ？俺からのプレゼントだ」

総悟から刀を受け取り、鞘から軽く引き抜く。柄や鍔、更には刀身まで黒一色のその刀は、どこか異質な雰囲気を纏っていた。
が、綺麗だ。一目見てその美しさが目立つ。こんな刀を奪ってきたってのか……。

「無銘の刀にしちゃあいい出来なんで目についてな。やる」
『…ありがとな、総悟』

嬉しい。これで刀を使っての仕事が出来る。
刀を鞘に戻しつつ腰に差す。総悟は笑って再度俺に抱きついた。

「ま、礼はハグで許してやらァ」
『ん…』

甘えん坊め。そんな言葉が出たが、飲み込んでおこう。

不気味な刺客→←時間と言うのはあっという間で

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