鬼の名を持つ副隊長《2》

新メンバーでーす ページ3

銀時side

昼過ぎ…

「あ〜…今日も平和だなぁ〜…」
「そんな事言ってないで、依頼受けたらどうです？ここ最近ずっと来てませんよ？」

そう言ってもなぁぱっつぁん、お廻り一人抱え込んだ状態でどうやって動けってんだよ。

「そういやぁアイツは？朝見ただけでその後一切会ってねぇケド」
「神楽ちゃんと一緒に定春のお散歩行ってますよ。隊服だと目立ちますから、銀さんの服の予備と姉上から頂いた服を着てもらいました」
「待って、今俺の服ぱくったって言ったよね？聞いてないよ俺？」

確かに隊服よりは良いけどさ、一言言ってくれても良いんじゃねぇの？ねぇ。

「ただいまヨ〜！」
『戻りやした』
「あ、お帰りなさい二人共」

玄関の方から歩いてくる神楽とソイツの声を聞きつつ、俺は部屋に入ってきたソイツを見た。

…何アレ。格好良いんですけど。
俺と同じ服の着方。でも着物は真っ黒ででっかい菊の花が金の刺繍で描かれてるご立派なお姿。アレ？一応顔は総一郎君なんだよね？何で似合うの？

「定春懐いてくれたナ！後輩！」
『ちィと怖かったが……案外可愛いもんだねェ、懐くと』

え、何？もう仲良くなってる感じ？銀さんもう思考が追いつかないよ？？

「おい新八…お前あんな派手な着物持ってたっけ？」
「あれは姉上がお客さんから貰った着物ですよ。着物を取りに行ったら、使ってくれって持たされたんです」
『気に入りやした』
「お、お〜…良かったな…」

本当に嬉しそうに笑うなコイツ…。殴られた事あるから"やばい奴じゃん！"って思ったが、そうでもねぇな…。

「銀ちゃん、後輩はあのドSみたいに黒くないアルよ！」
「あ、ついでに買い物付き合ってくれませんか？沖田さん。神楽ちゃんも一緒にどう？」
『いいですぜ。付き合ってやりまさァ』
「行くアル〜！」

もうすっかり万事屋メンバーだな。…じゃあ、

「よぉ後輩君、ちょいとこっち来てくれ」
『何ですかィ旦那』

手招きすれば後輩君はすぐ俺の所に来た。俺は腰に提げた"洞爺湖"の木刀を外して、アイツの腰に差した。

「俺の代わりに万事屋宜しく」
「あっ、銀さん何サボろうとしてるんですか！」
「最低な奴アル」
「うるせー！俺はこれから結野アナ見るの！忙しいの！！」

外野の野次なんか知るか！俺は悠々とのんびりしてたいの！

『へィ、じゃあ皆で万事屋してきまさァ』

ほら、やる気満々じゃねぇか。ちょっと不満げな二人を連れて外に行く後輩君を見送って、俺は結野アナのニュース番組をつけた。

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