珍しく一人の夜 ページ12
総鬼side
先輩の機嫌取りを終え、俺は自分で布団を敷いてその中に潜り込んだ。
旦那はソファに寝かせたし、先輩も寝ると言って押入れに入っていった。押入れで寝てるんだな、先輩。
『(……一人か…)』
いつも隣に総悟が居るから、一人で寝るのは新鮮だ。
暗くなった室内を見渡して、見慣れない天井を眺める。静かな部屋だ。時計の音が微かに聞こえるだけで、他の音は聞こえない。一人だけの空間。
『……』
ちょっとだけ物足りなさを感じる。隣に居る存在が居ないからだろうか?いや、多分これは…
『(…寂しいんだな、俺)』
そうだよな。親は自分の知らねぇところで死んでるし、それでも隣にはいつも総悟が居て一緒に寝ていたから、きっと寂しさが少しは和らいでたんだろう。
でも今は居ない。そのせいで本当に自分が一人なのだと実感して、寂しくなったんだきっと。
『……』
変に寒い。体を丸めて暖を取ろうとするが、それでも身体が震えた。
「はいちょっとどーいて」
不意に声がして、俺の後ろにどっかりと誰か寝転がる。驚いて振り向くと、視界いっぱいに真っ白な髪が映った。
『旦那…』
「別に野郎と寝る趣味はねーケド、子供体温は湯たんぽにいいと思ってよ。それにコレ、俺の布団だし」
そう言って旦那はグイグイと俺に寄って布団に入ってくる。俺は少しだけスペースを空けて、旦那に掛け布団をかけてやった。
「おっ、何?歓迎してくれてる?」
『まぁ…今日は冷えるんで』
そんな事を言って旦那に少し寄る。…何でィ、旦那だって子供体温じゃねーか。
『(…温かい…)』
胸の奥から懐かしさが込み上げる。少しだけ泣きそうになりながら、その温かさに安心して目を閉じた。
89人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
九龍-くーろん-(プロフ) - 赫さん» ありがとうございます!今は出ませんが、後々彼とも会わせるつもりです!長らく手をつけていないので遅くなると思いますが、頑張ります!! (2021年2月22日 13時) (レス) id: 8d4444cf44 (このIDを非表示/違反報告)
赫(プロフ) - 面白かったです!沖田くんとの絡みがまたいい!神威くんとの絡みもありますか?更新頑張って楽しみに待ってます! (2021年2月21日 18時) (レス) id: 896d04091b (このIDを非表示/違反報告)
九龍-くーろん-(プロフ) - くるビーさん» 遅くなり申し訳ございません!飽き性なので不定期となりますが、少しずつ書いていきます! (2020年10月5日 14時) (レス) id: 8d4444cf44 (このIDを非表示/違反報告)
くるビー(プロフ) - 更新は何時ごろになりますか? (2020年9月25日 1時) (レス) id: 86be64a2f1 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:九龍 -くーろん- | 作成日時:2020年7月13日 19時