🍎相性がいいとはこういうことか ページ7
アップルside
「貴方も充分イカれてるのね…」
『え？何が？』
「何が？じゃないわよ。死んでる奴相手に痛みなんてあるわけないじゃない」
『だって刎ねられる側になったことないんだもん』
「もんじゃないのもんじゃ」
「話も良いが先に進んだ方が良いんじゃないか？まだまだ悪霊は居るんだろう？」
一階を制圧したなら、手早く次に行った方が良いだろう。朝になるまでに片付けなければいけないのだから、此処で油を売っている暇はない筈だ。
『そうだね。じゃ、僕のとっておきを使おうか』
「何だ？」
エースは突然肩に担いでいた斧を振り回す。金色の斧はいつもあのジャック・ハートが持っているハートのステッキへと変貌した。それをパシッと手で取ったエースは、何もない空間めがけてステッキを振り下ろす。
『開け〜ゴマ！』
明るい声と同時に、エースの目の前の空間に赤と黒で半分ずつ塗られたハートのドアが出現した。驚く私とハーデスをよそに、彼はコンコンと数回ドアを叩いて『よし、強度バッチリ』と満足げに呟いている。
『さ、これを通って上に行こう。いちいち危なそうなエレベーターや疲れる階段を使わなくても上に行けるよ』
「こ、これ大丈夫なのよね…？」
『大丈夫だよ。ジャックみたいにごちゃごちゃしてないって。しっかりとこの先は二階に繋がってるよ』
ガチャリとドアを開けると、確かにその先は今居る場所と同じようなエレベーターホールだ。エースはこんな魔法も使えたのか…
「悪霊の出入り口にならないのか？」
『ご心配なく。僕が許可した者しか通れないようになってるんだ。だから二人は通れても、それ以外はお化けですら通れないよ』
…なら安心だな。
「私が先に行こう。毒を撒いて奇襲に備える」
ドアの前に立ち先に中へと入る。ドアの向こうは同じホールであり、"2F"の文字がぼんやりと見えた。襲われる前に毒を撒くか。
フッと息を吐くだけで毒は蔓延していく。その青黒い霧の中に後からやってきたエースとハーデスも歩を進めてきた。
『わ、凄いねアップルの毒。僕とハーデスじゃなかったらたちまちコロリだよ』
「ほんと、炎で良かったわ」
「そうだな。私の毒で味方がやられないと思うだけで心置きなく毒を振る舞える」
ドアを消してステッキを斧に変えたエースが隣に来る。私はその場で軽く足を鳴らすと、床の建材と化していた木々が樹木となって伸び上がる。
「背中は任せろ」
『じゃ、お言葉に甘えて』
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作者名：九龍 -くーろん- | 作成日時：2022年10月20日 0時
