🐙大変な一日になりそうだ ページ46
エイトフットside
「死屍累々じゃねぇか……」
ダルメシアが吐き散らした毒の霧で、俺とアップル、元凶のダルメシア以外は撃沈した。やべぇなアイツの毒。つーかこの体毒本当に効かねぇのな。
エースに言われた通り床に着地するイメージを想像すると、自然と下に体が降りて床になんとか足をつけることが出来た。が、これどうするかねぇ……
「わーん!!親友〜!!!エースー!!!」
ギャンギャン泣くダルメシアがエースを抱き抱える。皆少量とは言え毒を吸って昏倒したみたいだ。
「おい林檎、お前の毒どうやったら抜けるんだ」
『抜けるわけ無いだろう。あの小娘を殺す為に生まれた私の毒は、解毒薬程度で治るものじゃない』
「その毒で同僚がくたばってんだよ」
ちょっとイラつきながら言ってやると、アップルは『ふむ…』となにか考えるような仕草をした。
『毒なら私が吸い出してやれるが、今はエースになっているからな。かと言ってダルメシアに誰彼構わずキスをさせたくはない。…となると、ワンダーランドに頼るしか無いか』
「あ?どういうことだ?」
『エースの世界には解毒効果のあるどくだみ茶があるらしい。どんな毒でも解毒できるのだとか』
…あー、成程な。不本意だがそう銘打ってるもんなら解毒できるんじゃねぇかって考えか。
「で、その茶はどうやって手に入れるんだよ。くたばってるエースかジャック叩き起こして場所聞くか?」
『いや、必要ない。以前私が毒の研究用に貰った茶葉がある。使いたくないがそれを使おう』
『少し待て』っつって部屋を出て行ったアップルを見送り、俺はギャン泣きするダルメシアに近づいてポンッと頭を撫でてやった。
「う…、エイトフットォ〜…!」
「ソイツの顔で泣くんじゃねぇよ。それにすぐ毒は治るみてぇだから、とりあえず皆寝かせとけ」
あー…ジャックの声高くて違和感しかねぇ〜…こんな気怠げな声も聞かねぇしなぁ〜…
「うん…」と頷いたダルメシアと一緒にくたばってる三人を寝かせる。うっわ、コイツ意外と腕力あるのな。
「皆大丈夫かな…」
「すぐケロッと起きるだろ」
ソファに座って一息つきながら、俺は視界に入るクルックルの焦げ茶の髪を弄る。窮屈な上着のボタンを外して、小さく溜息をついた。
「(自分の魔力じゃねえ魔力があるの、意外と気持ち悪ぃもんだな)」
あ〜…早く戻って仕事しねぇとなあ〜……
13人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:九龍 -くーろん- | 作成日時:2022年10月20日 0時