赤色に染まる白の君《2》 (ページ39)

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♡楽しかった日々の最後にページ39

エースside

ハイタワーに戻ると、既に8時を回っていて皆自分の部屋で寛いでいる時間だった。

「夕飯時に帰らなくて良かったね」
「そうだな。人間並みの魔力ではからかわれるに決まっているからな」
『ジョー辺りが爆笑するねきっと』

「"お前らっ、普段の魔力量やばいのに今凄ぇ弱っちいじゃねぇかｗｗ"」って腹抱えて笑いそうだよね。今日で三徹目だから余計変な所で笑いそうで怖いよ。

「あ、そうだエース」

部屋に戻るために廊下を歩いていると、不意にジャックが「はいこれ」って紙袋を渡してきた。

『？何これ？』
「プレゼント！実はデート中に買っちゃったんだよね」

デート中……？…まさか、トイレ行ってくるー！とか言って一旦抜け出したのって…

「林檎からもあるよ？」
「嗚呼、私も用意している」

アップルも！？差し出された紙袋を手に取れば、「部屋で開けてみることだ」って言ってアップルは部屋に戻っちゃった。

「僕のも部屋で開けてね！じゃ、また明日！」
『あ、うん！また明日！』

…あっという間に帰るところが二人らしいなぁ…
部屋に入ってソファに座る。赤と黒の紙袋を隣に置いて、まずはジャックから貰った赤い紙袋を開けてみた。

『わぁ…！』

え、何これ！ハートの缶詰に入ったチョコと、薔薇の香水だ！凄い綺麗…！

『アップルは…』

黒い紙袋を開けてみると、何だかもふっとした物が入ってた。ん？何このもふもふ。
そのもふもふを掴んで引っ張り上げると、出てきたのはアップルの服を来たティディベアだった。

『これ絶対買ってきたやつじゃない！！』

作ったやつだ！こんなの何処から出してきたの！？…あ！ロッカールームそう言えばアップル使ってた！合流前に仕込んでたな！？

『…でもすっごい可愛い…』

真っ黒のロングコートも、手にくっついてる林檎もアップルが持ってるやつそっくりだ。目もご丁寧に暗めの赤だし。忠実に再現されてるなぁ…そうだよね、本人が作ったものだもんね。

『ん？』

ティディベアに見惚れていて気づかなかったけど、ジャックの紙袋の中に小さな箱が入ってる。何だろこれ。
手にしてみると箱にはハートマークが書かれていた。そっと蓋を開けてみると、

『……これ…』

中にあったのは、赤いハートのロケットだった。…ジャックのインクの匂いがする。これ、ジャックに使われたインクで塗られてるんだ。

『自分の身を削ってまで塗るとかやば…』

…でもジャックらしいな。ちょっとだけ笑ってしまった。