赤色に染まる白の君《2》 (ページ33)

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♡初めで緊張するページ33

エースside

「"明日の朝、9時にパーク入り口の噴水に集合ね"」

ジャックからそう連絡を受けて、僕は起きてすぐ身支度をした。
ご飯は食べた、顔も洗ったし歯磨きもしたし、メイクもばっちりやった。後は…鏡の前で少しだけ右の前髪を掻き上げて耳を出して、細いヘアピンで留める。うん、ちょっと雰囲気違うように見えるかな。
用意していた服を着て、机の上に置いていたスマホをポケットに入れて部屋を出る。廊下を歩いて現代に続くドアをくぐる時に、ドアから声がした。

「"リクルーティング以外での外出では魔力の制限がかかります。魔力行使の際はMr.Vにご連絡下さい"」
『はーい』

同意した瞬間、体内の魔力の流れが弱くなっていくのを感じた。左頬が熱くなって、ハートマークがゆっくりと消えていく。普段僕の気分で変わる体の重さも、この肉体と釣り合うほどの体重に変わってずしりと重く伸し掛かった。
リクルーティングの時もかるーく制限がかかるけど、せいぜい魔法が使えなくなる程度だ。人間みたいに調整がかかるだけでこんなに不便なんだな。

「"お気をつけて行ってらっしゃいませ、エース・ハート様"」

ドアの声を聞いて外に出る。一歩出た先はパークの入口の前だった。大きな噴水が陽の光に照らされて輝いている。その噴水の周りにはたくさんの人間が行き交っていた。

『へー、こっちからは普通のドアになってるんだ』

後ろを見れば”スタッフルーム”の文字が書かれたドアが閉まる。上手く現代のドアと空間を繋げるなぁ。僕の魔法みたい。
……っと、確か噴水のところで待ち合わせだよね……？9時になるまで少し時間あるし、ちょっと待ってようかな。
外は寒くもなく暑くもなくで、待つには問題無い温度だ。噴水の近くまで歩いてスマホを取り出すと、マルフィからメッセージが来ていた。

「”緊張せず楽しんでおいで”」

その言葉にちょっと嬉しくなる。思わずにやけそうになる口元を必死で押えて返信して、スマホをポケットにしまった。
2人が来たら何しようかな。まぁパークならやっぱりアトラクションに乗りまくらないと楽しくないよね。わざわざあまり来ないランドに来たんだから、堪能しなくちゃ。
ポップコーンとか食べ歩いて、お揃いのグッズ買って…………ふふ、すっごい楽しそう。あ、アリス居るかなぁ？アップルの所のお姫様は居そうだけど、会えたら会いたいなぁ。

『早く来ないかな、2人共』