❤夜中のお誘い ページ28
ジャックside
話したいことがある、そう言ってエースはホットミルクが入ったコップを机に置いた。
「何？」
『その……二人共、予定が無い日ってある…？』
「予定が無い日…？」
『うん…』
予定が無い日かぁ…。リクルーティングと日頃の仕事を考えると…
「今週は明日と明後日ぐらいかなぁ…」
「私は明後日なら丸一日空いているが…どうした？」
『あ、いや、その……』
もじもじして手遊びを始めるエース。机に視線を落としてちょっと恥ずかしそうに目が泳いでて……、え、本当に何があったんだろう…？
『……デ、デート、したいなって…』
「「…え」」
デート……？……デートって…それって…
『で、でも、二人共忙しいし…一緒がいいって言ったら、喧嘩するかなーって、思って…』
可愛い。僕達のこと考えてちょっとモジモジしてたの？可愛すぎない？
「…エース」
トンと肩を叩くと、エースは僕の方を不安げに見てきた。そんな顔するぐらい考えてくれたんだって思ったら、すっごい抱きしめたくなる。
「じゃあ明後日行こっか、デート。毒林檎が突っかかってこなければ喧嘩もしないし。…いいな毒林檎」
「異論はない。そこのトランプがちょっかいを出さなければな」
「っ……あー、今から喧嘩しないでおこ。折角の夜が台無しになるし」
ほんとムカつくけど、まぁコイツもエースの前だったら少しは大人しくなるでしょ。
『…』
「エース？」
あれ、反応が無い…？
「…ジャック」
「？…あ…」
あー…寝ちゃってる…
「緊張していたんだろう。私達が喧嘩したらとか、彼なりに色々悩んでいたのかもな」
「…はぁ〜…心配させてばかりだな僕。直す気はないけど」
「私も同感だ。だが…善処はするか」
頭を撫でる林檎の顔はなんか優しくて、こいつもこんなやつだけどエースのことが好きなんだなって改めて思う。僕は空になったホットミルクのコップを手にとって洗いに行ってから、机の上の帽子を持って「部屋まで運ぶぞ」って林檎に声かけた。
「落とすなよ？」
「まさか。お前じゃあるまいし」
「僕だって落とさないし〜」
全く…いちいちムカつくやつ。
エースの部屋まで行ってドアを開けてやると、アップルは中に入ってエースをベッドに寝かせた。僕も窮屈な上着のボタンを外してやったら、エースはアップルのコートをシーツにして寝始めちゃった。
「お腹冷やすよ、エース」
僕は毛布をかけて、安心したように眠るエースの額にキスをした。
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作者名：九龍 -くーろん- | 作成日時：2022年10月20日 0時
