赤色に染まる白の君 (ページ35)

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♡夢の住人が見る夢はページ35

エースside

ご飯も食べて、のんびりしてからお茶会をして、どんちゃん騒いだ後、僕は何故かワンダーランドに居た。
部屋に入ったのまでは覚えてるんだけど、その後絵に入ったっけ？う～ん……分かんないや！まぁ何が起きても不思議じゃないのがこの世界だよね！
サクサク芝生を歩いて歌う花畑に出ると、その場に寝転がる。まっさらな空にはコットンキャンディみたいな雲が広がっててとても見ていて気持ちいい。

『あ…ジャック！』

？誰だ？
駆け寄る足音、何だか聞き覚えのある声。起き上がると同時に僕に抱きついてきたのは、癖っ毛気味の焦げ茶色の髪をした、

『ジャック！』
『…は』

僕だ。何でそう思ったのか分からない。第一僕は人間じゃないし、こんな小さい姿になった覚えもない。でも間違いない、目の前に居るのは僕だ。"人間の僕"だ。

『今日も楽しいお話を聞かせてよジャック！』

ねーねー！と腕を引っ張るその子に、僕はちょっと呆然とした後慌てて笑顔を浮かべた。
僕のことジャックだと思ってるの？ハートマークが逆なの分からないのかなぁ。ちゃんと言ってあげないと。

「いいよ。今日は何の話を聞きたい？」

漏れた声は僕の意思とは違う声を出した。どうして？そう思ったのも束の間、僕は自分の姿を見て納得することになる。
ボタンが逆だ。それに帽子の色合いも。彼の瞳に映る僕の頬にはいつもとは逆についたハートマークが映っている。これじゃあ本当に僕がジャックみたいじゃないか。

『今日はね～アリスの話！』
「またその話？君は本当にアリスが好きだね」
『うん！だって可愛いじゃん！それにね、ママが凄い好きなんだよ！僕のママもパパもアリスが大好きで…、…』
「？どうしたの？」

急に元気が無くなったな…まぁ今の僕、体勝手に動くから何も出来ないんだけどね。

『…パパもママもお仕事ばかりで僕に構ってくれないの。僕いい子にして待ってるのに…』

寂しそうに呟くその子供は涙をたっぷりと目に貯めている。そんな彼を僕は優しく撫でた。

「じゃあ、この世界では悪いことをしようよ！」
『悪いこと？』
「そうさ！お菓子をたくさん食べて騒ぎまくろう！此処は君と僕のワンダーランド、出来ないこともできる最高の世界！パパとママに会えないなら、我慢してるものぜーんぶ吐き出して悪い子になっちゃおうよ！その方が楽しいさ！」
『ほんと？』
「ほんと！」

『じゃあ僕、悪い子になる！』

その言葉で僕は目が覚めた。…嗚呼、夢だったのか。