《リクエスト》愛らしい君の耳元に触れたら -1-【アルハイゼン】 ページ35
アルハイゼンside
「……」
『……』
紙の擦れる音、温かな室内の空気、隣に見える赤い彼の姿。
リビングでの読書の最中ふとアルマの方を見た時、彼がヘッドホンをしていない事に気づいて思わず本を閉じた。
「君、ヘッドホンはどうした」
『ん?』
俺の問いにアルマが本から俺へと視線を移す。そんな彼の耳元にはいつも着けている真っ赤なヘッドホンは存在せず、綺麗な形の耳が髪の下から覗いていた。
『あぁ…。実はカーヴェに貸していてね。"今日一日だけでいい!集中したいからヘッドホンを貸してくれ!"…とせがまれて、今は彼の所に貸出中だ』
そうだったのか。……それにしても新鮮だな。彼がヘッドホンを外すのは大抵入浴や寝る時ぐらいで、こうして一緒に居る時にヘッドホンを外している姿を見るのは非常に珍しい。
自分の姿だと分かってはいるが、こうして見ると自分とは到底思えない。気分は…そうだな、瓜二つの兄弟を見ている気分だ。
「……」
特に何を思った訳では無い。ただほぼ無意識に近い感覚で、自然とアルマの耳元に手を伸ばしていた。
読書を続ける彼の僅かに垂れ下がる銀の髪を掬い取り、耳にかけてやった。そうしたら、
『っ……!』
彼はピクリと肩を跳ねさせ、素早い動きで俺の方に振り向いた。
「……すまない。驚かせただろうか」
『いや……。……その、だな……』
本を閉じ、アルマは自分の耳を押さえる。その顔を羞恥にやんわりと染めながら、困ったように眉を下げて彼は言葉を続けた。
『人に触れられた事が無いからか、少し…擽ったくてね。あまり触らないでくれると嬉しいんだが…』
………その顔で、そんな事を言うのか。
「それは、聞けない願いだ」
再度彼の耳に触れる。『んっ…』と悩ましげな声を漏らし、困ったように頬を染める彼の耳を愛でるように指を這わせ、優しく撫でてやる。
柔らかく白い耳が俺と同じものだと言うのだから、本当に彼は面白い。
『アルハイゼン……ッ』
「君がそんな愛らしい反応を示すから悪いんだ」
そう告げて、優しく彼の耳にキスをした。
『なっ……!?』
面食らったように驚く彼の顔は赤い。その後じとりと睨むような表情を浮かべる彼を横目に、俺は手にした本を開いて口元に笑みを浮かべた。
「本当に君は、可愛らしいな」
君と居ると興味が尽きない。そんな顔を見られるのも、きっと俺だけの特権なのだろうな。
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ゆらぎ(プロフ) - いえいえ、全然オーケーです!!こちらこそ採用してくださりありがとうございます! (5月5日 1時) (レス) id: 8914fbacd3 (このIDを非表示/違反報告)
九龍(プロフ) - ゆらぎさん» コメントありがとうございます!エヴァは私があまりよく知らない作品でして……申し訳ありません……。ですがシチュエーションはとても良いと思いましたので、そちらを採用させて頂きます!満足にリクエストに応えられず申し訳ありません! (5月4日 10時) (レス) id: 69e5a75295 (このIDを非表示/違反報告)
ゆらぎ(プロフ) - リクエスト受理してくれてありがとうございます!またリクエストでエヴァンゲリオンってできますか?エヴァに取り込まれた主人公組とパイロットの恋人組、みたいな、、?無理を承知ですがお願いします! (5月3日 19時) (レス) id: 8914fbacd3 (このIDを非表示/違反報告)
orchid~オーキッド~ - ありがとうございます!よろしくお願いいたします! (5月1日 13時) (レス) id: 47c56abe73 (このIDを非表示/違反報告)
九龍(プロフ) - orchid~オーキッド~さん» リクエストありがとうございます!話数的に次回に回ると思いますが、書かせて頂きます! (5月1日 1時) (レス) @page50 id: c0b6840b43 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:九龍 -くーろん- | 作成日時:2024年3月8日 21時