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ちょっとだけ、その人は変わった ページ48

山崎side

どう、なったんだ…?
隊長を押し倒したまま、副隊長は何かを話していた。それは感情が乗った大きな声ではなく、何かを決意したかのような、小さな声で。

「…山崎」

声がかかった。俺は一瞬ビクリと身体を跳ねさせる。
その声が、酷く静かで冷たかったから。

『ふ、副隊長…大丈夫、ですか…?』
「馬鹿。俺は無事でィ。この馬鹿運び出せ」

副隊長はそう言って、沖田隊長を担ぎ上げる。隊長はまるで疲れ切ったかのように寝息を立てていた。
もしかして…

「たくっ…ぐーすか寝やがって…。後でブチ殺してやらァ」

愚痴を零しながら、副隊長は俺に隊長を預けてきた。俺は背中におぶって、歩き出した副隊長の背中を追った。

「作戦終了だ。テメー等、お疲れさん」
「「はいっ!」」
「俺は屯所に戻る。腕イカれたまま戻るのは後味悪ィからな」
『そ、そんな気にしなくていいですよ…!このまま装置の方に「駄目だ」

キッと、鋭い視線が飛んでくる。自分の顔だってのに、思わず息を呑む程の凄みがあった。

「これァ俺の不始末だ。ちゃんと病院行って、治るまで元の身体には戻らねェ」
『……分かりました。その代わり!怪我の具合とか俺が見ますからね?』

俺がそう言うと、副隊長はフッと微笑した。あ…大人びた笑みに戻ってる…

「わーってらァ。煩ェ母ちゃんだ事で」
『だから!俺は副隊長の母ちゃんじゃありませんったら!!』

でも、ちょっと安心した…。もし副隊長が魂を元に戻した時、もしあっちの方に支配されたらなんて考えてた。
俺も、まだまだだな…信じてた心算で、この人の事を疑ってた。きっと、周りの皆もそうだ。
あの夜兎の力を見て、何処かで副隊長の事を恐れてたのかもしれない。
でも違った。俺だけが知る、あの夜零した弱さ。この人も、ただの人間なんだって思った。

『(俺って、本当に馬鹿だったなぁ…)』

夜兎だからって、ちょっとだけ怯んでたところがあった。そう考えた時、ふと思った事があった。

もしかして沖田隊長は、夜兎のあの力を目にし、その身に受けても尚、恐れずにずっと傍に居たって事になるよな?と。

『(…敵わないなぁ……)』

これが、惚れた弱みならぬ"惚れた強み"って言うのかな?だとしたら完敗だ。

きっと沖田隊長にとっては、副隊長がどんな人でも、"副隊長"と言う人だったら、どんな事してでも傍に居るんだろうなぁ…
そう、感じた事件だった。

本当の自分で居られる人は、本当に少ない→←自分との約束



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設定タグ:銀魂 , 男主 , 沖田総悟   
作品ジャンル:アニメ
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作者名:九龍 -くーろん- | 作成日時:2023年5月24日 2時

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