魂の共鳴!…え、違う? ページ41
総鬼side
「もしかして、入れ替わる時に魂が分裂した…とか」
…分裂?入れ替わった時に?いやいや、冗談キツイですぜ金の旦那。
「そうだとしたら、俺のもう半分は何処に行ったんでィ」
「…銀の字の時もそうだったが…分裂した魂は近くの肉体に入る。銀の字は死んだ猫のケツに吸い込まれていったが…お前さんの近くで一番波長が合う人間が居たら、死骸じゃなくそっちの生者に吸い寄せられるだろうな」
「近くに居る波長の合う生きた人間だァ…?」
そんなの居ねぇに決まってらァ。それこそ、ストーカーでもするような奴じゃなきゃあ……
…ン?
『どうしたんですか?副隊長。顔が真っ青ですよ?』
「…おい、山崎…。総悟は、何処だ?」
『え…?…そう言えば、朝から見てませんね…』
……も、もしかして…いや、違うと信じてぇが…もしかして……
「さっきからこっちに歩いてくる奴が一人居るんだが…お前さんのお客じゃねぇのか?沖田君」
金の旦那が外を見る。…俺は嫌な予感がして、その場から飛び出した。
辺りは人が行き交い、それらしい人影が此方に来る気配も、そんな姿も無ェ。
「(…でもあの万能カラクリの旦那が言ってんだ。何処かに…)」
人が多いから見えないだけかもしれねェ。俺はその場を離れ、出来るだけ人の居ない道へと向かう。
少しだけ薄暗い、人の居ない道に出た時だ。後ろから砂を踏む音が聞こえた。
ソレと同時に襲い掛かったのは、凄まじい風圧。
「っ…!」
咄嗟に振り返り、抜き放った刀で風を受け止める。刃が捉えたのは見た事のある番傘だ。
これ…俺が春雨から持ち帰った、親父の番傘だ…!
「っの…!」
降りかかる圧を払うように突き飛ばす。番傘の持ち主は突き飛ばされたにも拘らず、猫のように地面に着地した。
その顔が、ゆっくりと上げられる。
「…やっぱりな…。そうだと思いたくなかったが…っ」
目の前の栗色を睨みつける。そうだ、俺に襲い掛かってきたのは…
番傘を手に持った、総悟だった。
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作者名:九龍 -くーろん- | 作成日時:2023年5月24日 2時