兄弟喧嘩と言う名の殺し合い ページ5
総鬼side
いやァ〜流石魔剣様だ。剣の速さも、力も格段と上になってやがる。いいねェ。
斬り合ったら楽しいだろうが、生憎刃を交わしたらマガツキが駄目になっちまう。剣は交えないように避けながら、繰り出される刃の嵐の中に手を突っ込み、その刃を受け止める。手が深く斬れたが、それでも目の前のソイツは俺の手から刃を引き抜く事は出来なかった。
『いいねェ。テメーを愛刀にしても良かったかもしれねぇな』
「っ…」
腹に一撃喰らってるからか少しだけ動きが鈍い。悔しげに睨み付けるソイツに笑みを向けては、その額を刀の柄で小突いてやった。
「い゛っ…」
額を押さえてマガナギが後ろに下がる。俺はその隙に旦那の方へと視線を向けた。
…まだかかりそうだなこりゃあ。
『マガツキ』
【な、何…?】
『テメェが相手しろィ』
【え…えぇ!?】
今俺が闘り合ってんのは総悟じゃねェ、あのマガナギだ。幾ら総悟の姿をしてるからって、このままじゃ俺もいまいちノれねェ。
『ノリとリズムが合わねぇンだよ。この闘いはテメーに預ける』
【で、でも僕なんか】
『テメーは俺の愛刀だろうが』
刀身を睨みつける。マガツキはその刀身をビクリと少しだけ跳ねさせた。
『お前に命懸ける。だからちゃんとご主人様守ってみせろ、相棒』
俺の気に入りの刀なんだから、折れてくれんなよ。
【沖田君…。…分かった、やってみる!】
『よく言った』
笑って、目の前に視線を戻す。マガナギは体勢を立て直し、俺を殺意の篭った目で睨みつけてきた。
「器にする前に、一度その身体を斬り刻んでやろう…!!」
『やってみろィ尻軽野郎。俺はそう簡単に乗りこなせねぇって事を教えてやらァ』
天人のハーフ嘗めんな。俺は笑って意識を刀に向ける。
アイツが地面を蹴って俺の方に走り出す音が聞こえた時、俺の意識は途切れた。
8人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:九龍 -くーろん- | 作成日時:2023年5月24日 2時